KAY'S BLOG

独行道~Lonesome Road of Running

夢銀行のおはなし

【夢銀行のおはなし】

ある日、夢博士はかわいい孫娘の夢子ちゃんから質問を受けました。

「ねぇねぇ、博士。あたし大きくなったらお姫様になりたいんだけどどうしたらいいの?」

「夢子ちゃん、素敵な夢だね。よしよし、教えてあげよう。

夢ってのはね、いったん頭の中にできあがると『夢銀行』ってところに自動的に預けられるんだよ。

預けられた夢は一度に引き出せない。少しずつ現実の世界に引き出していくしかできないんだ。

引き出した夢がひとつの形になるまでは時間がかかるし、夢を預かってもらう期間は預けた人が生きている間だけ。

だから、生きている内に全部引き出せるようにしないといけないんだよ」

「夢を引き出さないまま死んじゃったらどうなるの?」

「その夢はかなわないまま、その人の人生も終わっちゃうんだよ。

たいていの人はね、子供の頃に預けた夢を大人になるまでに忘れちゃうのさ」

「せっかく預けたのにそれじゃもったいないわ」

「そうだね。ただ、預けている間に利息ってのがつくよ。どんどん夢が膨らんでいくんだ。

夢が実現することを考えれば考えるほど大きくなるんだ」

「どうやったら預けた夢を引き出せるの?」

「それはね…わしにも分からないんだ。…夢をかなえるために今できることを一生懸命頑張るくらいのことだろうね。

大切なのはね…あきらめないことさ。これが自分の夢なんだって強く信じ続けることなんだよ…」


10599198_973242526058083_6593376697418765158_n.jpg


「PEACE RUN世界五大陸4万キロランニングの旅」公式サイト



スポンサーサイト

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

  1. 2015/12/30(水) 18:20:54|
  2. 超短篇小説
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

超短編小説「オータム・イン・ニューヨーク」

超短編小説「オータム・イン・ニューヨーク」

4171579-new-york-city-colors.jpg


「ただ今留守にしています。発信音の後にメッセージを入れて下さい…。ピーッ」

「やあ、ジュリアンかい?俺だよ、クリスだ。久しぶりだね。

ワールドトレード(世界貿易)センターでテロのあった日、たまたま休暇を取ってたんだ。52番街にある自分のコンドミニアムでくつろいでた。運が良かったとしか言いようがないけど、イーストビルの45階に俺が勤めていたアトランティック・ファイナンスの事務所が入ってたんだ。

テレビのニュースで、いつも目にしてるはずのトゥインタワーが積み木のようにこなごなに崩れ去っていくのを見たよ。まず頭に浮かんだのは職場の同僚たちはどうしたんだろう、ってことだった。ボスのジェフは?秘書のカーラは…?いつも笑っていた気のいい仲間が突然この世から消え去ったんだ。そして、俺一人だけが生き延びた。いったいなぜ…?分からない…。

その後、俺がやったこと…。仲間の一人一人と最後に交わした言葉と、その時の彼らの表情や仕草なんかを思い出してみたんだ。前日の夜まで、本当にみんな健康で平和そのものだったはずなのに…。

それから1週間くらいしてやっと煙が消えた。廃墟と化した貿易センタービル付近を歩いてみたのさ。何ともいえない臭いがそこら中に漂っていてほんとに息苦しかった。このがれきの山のどこかに、彼らがいるはずなのに…。俺には何もしてやれなかった…。

俺はみんなの冥福を祈ったよ。悲惨な最期を遂げた彼らに、神のご加護がありますようにと…。

でも…俺が一番会いたかったのは…君だよ、ジュリアン…。がれきのひとつひとつを手でよけてでも君を探し出したかった…。

もし、もし、このメッセージを聞いてくれるなら…俺のことを、忘れないでおくれ…、いつまでもずっと…。

ルイジアナの片田舎からマンハッタンに来てまるまる6年たったよ。アメリカンドリームを夢みてニューヨークへやってきたけれど、何が自分の夢なのか分からないまま、歳月だけが過ぎてった。

セントラルパークの紅葉はもうほとんど散ってしまった。風も冷たい。
天国ってとこはセントラルヒーティングは入ってるのかい?

5時のグレイハウンド(バス)で故郷へ帰るよ。ハロウィーンとサンクスギヴィングには何とか間に合いそうだな。

南部出身の俺にはこの街は少し寒すぎるんだ…。

じゃ、元気で…。愛してるよ…ジュリアン…」


6961400-autumn-leaves-sunset.jpg


「PEACE RUN世界五大陸4万キロランニングの旅」公式サイト

テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

  1. 2015/09/11(金) 23:59:59|
  2. 超短篇小説
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

超短篇小説:雨の日と月曜日は

【超短篇小説:雨の日と月曜日は】

ajisai

四季の花 「アジサイ」。「紫陽花」とも書く。ユキノシタ科の潅木(かんぼく)。学名hydrangea。
花言葉は、「いばり屋、移り気、あなたは冷たい人」。梅雨時期には、がく片が青、紫、紫紅色に変わるため「七変化」とも呼ばれる。




「お願い、雨の日と月曜日だけは電話しないで。あたし本当に気が滅入っちゃうの」

「分かったよ。でも、君の方からもたまには電話してきておくれよ。君が会いたくないなんて言うから、心配なんだ」

「ええ、気が向いたら電話するから」

彼女がそう言うと、僕はそっと受話器を置いた。小ぬか雨降る6月のある月曜日の夜だった。



7月に入っても雨は毎日のように降り続いた。

火曜日も水曜日も雨で、ついに雨は1週間止まないまま、再び月曜日がやってきた。

その日も朝から雨だ。僕はいても立ってもいられなくなり、彼女に電話をかけてみた。

「先週言ったはずでしょ。この1週間ずっとユウウツだったけど、さらにまたあたしを落ち込ませるつもりなのね、あなたって人は…」

「そ、そんなこと言われても、ずっと雨で仕方なかったし…。君の声が聞きたくてたまらなかったんだよ」

「そう、あなたはあたしがふさぎこんでいるのを見てよくもまあヘラヘラしてられるわね」

「違うよ、違うってば…」

「どこがどう違うって言うの?」

「僕たち恋人同士だろ?会うことも電話することもダメだなんておかしいよ。実際のところ、僕は君に会いたいし、電話でもいいから君の声が聞きたいんだ」

「…分かったわ。じゃ、次から雨の日と月曜日にだけ電話してきてちょうだい」

「え?いいのかい?」

「ただし、ひとつ条件があるの。あたしを思いっきり楽しませてくれるような話を用意しておいてほしいの」

「何だ、そんなことか。分かった分かった」

「じゃ、雨の日と月曜日にね…」



それまで降っていた雨がまるで嘘のように翌日は初夏の太陽が眩しく、青空が一面に広がっていた。

晴天は1週間続き、日曜日の深夜から雨が降り始め、雨の月曜日がやってきた。

僕は震える指で彼女のダイアルを回した。しばらくベルが鳴り続いて彼女が出た。

「ごめんね。今すごく疲れてるの。また今度電話してくれない---ガチャン…」



それからというもの、雨の日と月曜日は僕にとってもユウウツな日となってしまった。





The Carpenters - Rainy Days And Mondays

farm_in_hokkaido
(Illustration "Farm in Hokkaido" by kay)

* Go the Distance!【現実を見据えた生き方】


テーマ:オリジナル小説 - ジャンル:小説・文学

  1. 2010/06/14(月) 19:20:41|
  2. 超短篇小説
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

ワイキキの熱い砂

【超短篇小説:ワイキキの熱い砂】


sunset_beach


ワイキキ・ビーチの夕暮れ…浜辺には人影もなく、一人静かに砂浜を走る女性ランナー。

海は凪ぎ、風も止んで、彼女の息遣いと、彼女が砂を踏みしめる小気味よいキュッキュッという音が聞こえるだけ。

寄せては返すさざなみが、彼女の足音に合わせてやさしいメロディを奏でている…。

ホノルルのダウンタウンを潮風が吹き抜ける。

彼女は過去を捨て、自分自身をリセットするためにハワイにやってきたのだ。


「しばらく独りにして、お願い…」


別れた恋人と最後に交わした言葉は、ただそれだけ。

心行くまで一人黙々と走りたい…それが彼女の願いだったのだ。


どれだけ涙を流しても、どれだけ汗をかいても、彼女は物足りなかった。

乾いた心をさらにドライにすることで彼女はリセットできそうな気がした。


「夜が明けるまで走るのよ」


彼女は自分自身にそう言い聞かせた。


自分で決めたことだ。

頑なに自分自身にこだわり続ける。

自分の決めた道を貫き通して何が悪い…彼女の思いは彼女が一番よく分かっている。


東の空に丸い月がぽっかりと浮かぶ。


ABCストアで買ったグレープフルーツジュースを飲み干し、再び浜辺を快適なペースで走り出す。

椰子の木陰で抱き合うカップルを横目に、彼女はただ走り続けた。

まるで走るために生まれてきたかのように…。


何を思ったか、彼女はシューズを脱いで素足で走り出した。

二足のシューズの紐をたばねてひとつにしてウエストポーチにくくりつける。

ワイキキの砂浜は昼間と変わらぬくらい熱く感じられた。


満月は何も言わず彼女をじっと見下ろしている。

ほとばしる汗を手のひらでぬぐって、彼女はさらにペースを上げた。

さざなみのメロディと足音のリズムに合わせて、彼女は踊るように走った。


やがて、月夜に踊るランナーを、夜の帳(とばり)が静かに包み始めるのだった。


テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

  1. 2010/03/06(土) 22:44:32|
  2. 超短篇小説
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

超短篇小説「バレンタイン奇譚」

【超短篇小説「バレンタイン奇譚」】

友人Aにある日同じ職場のM子からメールが届いた。

「Aさん:いつもお世話になっています。チョコレートを送ります。気持ちだけですがよろしくお願いします」(ハートの絵文字もついていたらしい)

さっそくM子のメールの添付ファイルをクリックして開いてみると…


チョコ


チョコレートの画像であった…。


友人Aは思った。

「高度情報化時代に伴い、人間関係もだんだんドライで冷めたものになって行くのだろうな…」



その日、BCC(ブラインドカーボンコピー)で同じ課の男性全員に一斉にM子からのチョコメールが届いていたのだとか。

Aはさらに思った。

「ホワイトデーにはM子にホワイトチョコの画像を送ろうか…」

Aはつぶやいた。

「愛情というのも、結局のところ、データ化され圧縮され、情報として処理される、嫌な時代だ…」

47歳のAには妻が一人いる。子供はいない。

妻からもらうチョコが唯一のチョコだ。スーパーで売っているお徳用のピーナツチョコ(298円)を100均で売っている紙の箱に入れ、包装紙できれいに包み、リボンをつけてくれる。

「結婚生活23年、今もまだ、こうやって心を込めてチョコを…決して高級でもなんでもないけど…贈ってくれる嫁さんをもらえて俺は幸せだよ」



*******



もう7年も前になるだろうか。自分が結婚してた頃、我が家ではバレンタインは2月15日だった。

14日に売れ残ったチョコを妻がまとめ買いしてきて、自分にくれるのがその日だったのだ。

値段は半額になっていた。

まさか、愛情も50パーセントディスカウントされていたのでは…。

今となっては知る由(よし)もない。



*******



2月14日、M子と彼女の同僚Y美との会話(フィクションです…あくまで推測…)

M子の同僚Y美: ねぇねぇ、M子チョコどうした?

M子: あぁ、今年はメールで送ったわ

Y美: メールで?どうやって…?

M: 添付ファイルよ。実物じゃなくて画像で送ったの。それも一斉メール。もうバレンタインなんて早くなくなって欲しいわね。こんな馬鹿げた習慣いつまでも続けてちゃダメだわ

Y: そうね。高くつくし…。今年は本命にかなり高級なチョコ買ったから…ゴディバの4000円もするヤツ。8個で4000円よ、信じられる?1個500円のチョコ。チロルチョコなら何個買えるのかしら…。えーっと…えーっと…。

M: 他には…?

Y: 課長でしょ、それと係長のKさんとFさんには一番安い250円のヤツ。あと今年の新人6人には500円の少しましなヤツ。K係長は去年のホワイトデーに何もお返しなかったからやめようと思ったけど…そういうわけには行かないわね…。

M: そうなの…やっぱりあたしもY美みたいに実物買って贈るべきだったかしら…。

Y: うぅん。M子は正解よ。男性だってホワイトデーのお返しを面倒だって思ってるのと同じ。あたしたちがチョコを贈らなければその必要もなくなる。あたしも来年はメールの添付ファイルで送ろうっと。



義理チョコ
*誤解のないように「義理」の二文字が書かれた義理チョコ(非売品)


(M子とY美の対話は実際にありえそうではありますが完璧なフィクションであり、ここに登場するM子とY美は実在の人物ではありませんし、そのモデルとなる女性も存在しません、念のため…)


*関連記事 

「チョコを食べたら犯罪!?」

「子供の奴隷が作るチョコレート」

テーマ:ショートショート - ジャンル:小説・文学

  1. 2010/02/14(日) 06:13:07|
  2. 超短篇小説
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
次のページ

FC2カウンター

プロフィール

KAY(高繁勝彦)

Author:KAY(高繁勝彦)
冒険家:アドヴェンチャー・ランナー、NPO法人“PEACE RUN”代表、サイクリスト(JACC=日本アドベンチャーサイクリストクラブ評議員)、ALTRA JAPANアンバサダー
旅人、詩人・アーティスト、クリエイター、ナチュラリスト…。元高校教師(英語)。

大阪府松原市生まれで、現在、大阪府富田林市に在住。

楽天ブログ時代(2006.4.2)からノンストップブログ更新中。公式サイト
「PEACE RUN 世界五大陸4万キロランニングの旅」
“KAY’S WORLD”もよろしくお願いします。

プロフィール詳細はこちら

二度の日本縦断(「PEACE RUN 2010日本縦断3,443kmランニングの旅「PEACE RUN2012 日本縦断ランニングの旅 PART2」で実質の日本一周ランニング6,925kmの旅を完結。

2011年はPEACE RUN 2011アメリカ横断5,285kmランニングの旅を138日で完了。

2013年9月から163日で「PEACE RUN2013オーストラリア横断ランニングの旅」5,205kmを走破。

2014年11月から2015年2月、83日でPEACE RUN2014ニュージーランド縦断ランニングの旅2,796.6kmを走破。

2016年7月〜11月、110日間で7カ国3,358.8キロ、「PEACE RUN2016ヨーロッパランニングの旅」を走破。

2017年9月〜10月、「PEACE RUN2017四国一周ランニングの旅」1000キロ走破。来年の「PEACE RUN2018ヨーロッパランニングの旅PART2」に備える。


2011年3月14日、東日本大震災の3日後、「RUN×10(ラン・バイ・テン)運動」を発案・提唱、全国に展開させる。

2012年末、facebook上の公開グループ、平和的環境美化集団"THE SWEEPERS"を発足、活動を展開中。

2013年、一本歯下駄で世界平和をめざすfacebook上の公開グループ「一本歯下駄クラブ」を発足、活動を展開中。


講演・セミナー・取材などの問い合わせ・依頼は下のメールフォームでお願いします。

メールフォーム

ご意見・ご感想お待ちしております。

名前:
メール:
件名:
本文:

最新記事

PEACE RUN世界五大陸4万キロランニングの旅

無料メルマガ「週刊PEACE RUN」

高繁勝彦 on facebook

高繁勝彦 on TWITTER

"THE SWEEPERS"

地球にいいことしませんか?

One-Tooth Geta Club

カレンダー

09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

カテゴリー

amazon.co.jp

楽天市場

PEACE RUN公式スポンサー

finetrack

Thule

エイチ・エス・アシスト株式会社

エイチ・エス・アシスト株式会社

ALTRA

ALTRA

KLYMIT

Fun・Running関西

FunRunning関西

辻子谷龍泉堂株式会社

ARUCUTO

The Social Tea House

The Social Tea House

Tyrell

ジョイフルログ

CACAZAN

CACAZAN

Gofield

Gofield

久光製薬

久光製薬

アシスト設計

株式会社アシスト設計

昭文社

昭文社

MEROS

MEROS

アンプラージュインターナショナル

アンプラージュインターナショナル

Progear Vision

Progear Vision

オートサイクルベンリー

才能はかり売りマーケットごろっぴあ

うちのダンナは冒険家

励まし屋

内田あや 青い空blog

JOBBB RADIOボラボラ大冒険

PEACE RUNプロモーションビデオ

PEACE RUNテーマソング "Go The Distance"

励まし屋"Go The Distance"

PEACE RUNテーマソング “Go The Distance”収録

PEACE RUNテーマソング“Go The Distance”CD絶賛発売中!!

PEACE RUN SUPPORT SONG "MY GOAL" PV

内田あや“My Goal”

PEACE RUNサポートソング “My Goal”収録

内田あや Long Road ~J country ver.~

濱守栄子【国道45号線】MV

RUN×10(ラン・バイ・テン)運動

runx10_logo

JACC 日本アドベンチャー・サイクリストクラブ

シール・エミコ支援基金

旅RUN×(kakeru)

旅RUN×

ベビラン(BABY RUN)

月別アーカイブ

QRコード

QR

ブログ内検索

RSSフィード