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KAY'S BLOG

独行道~Lonesome Road of Running

ライ麦畑よ、永遠に

【ライ麦畑よ、永遠に】

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I’d just be the catcher in the rye and all. I know it’s crazy,

but that’s the only thing I’d really like to be.

ライ麦畑のつかまえ役、そういったものに僕はなりたいんだよ。

馬鹿げてることは知ってるよ。

でも、ほんとうになりたいものといったらそれしかないね。


*****


2010年に他界したJ.D.サリンジャー、今年で没後10年。

今から40年ばかり昔、高校時代に野崎孝の「ライ麦畑でつかまえて」を初めて読んだ。

当時、大人になんかなるもんか…と啖呵を切っていた自分。

いかに幼稚で戯けたことを考えていたか、当時の日記を読み返せばよく分かる。


少年時代の、カミソリのように鋭く繊細な部分、当時、ホールデン少年に共感を覚えた仲間は多かった。

大人の穢れや醜さで、少年の純粋なハートを決してスポイルしてはなるまい…そんな思いで僕たちは必死だったのだろう。


1989年のアメリカ映画「フィールド・オブ・ドリームス」(ケヴィン・コスナー主演)を見た時に、

ジェームズ・アール・ジョーンズ演じるテレンス・マンというサリンジャー氏をイメージさせる作家が登場してくる。

(映画の原作となるW・P・キンセラの小説『シューレス・ジョー』ではサリンジャー氏が実名で出てきている)


少年の瞳の輝きを忘れないこと。

いつでもハートは熱く、決してプアでチープなものにしないこと。

たとえあざ笑われたとしても、自身の生き方に信念を貫き通せること。


偏屈や変わり者といわれても、それを個性と主張する。

世間との煩わしい接触を避け、引きこもりながらも自分自身の喜びを追及する。


生き方をシンプルにすればするほど悩み事は減っていくもの。

それを僕は「ミニマリズム(最小限主義)」と呼んでいる。

身辺整理をすることで、持つべきものも、人との関わりも、最低限にとどめてしまえば煩わしさは解消されるはず。


ホールデン少年は、誰の心にもいる。

それを自由に表に出せないジレンマ(葛藤)と戦いながら、人は知らず知らずのうちに大人になっていく。



どうして我々はそんなに早く大人にならねばならぬのだろう?
(Why must we grow up so fast?)


---"Pretty Maids All in a Row" by Joe Walsh
(「お前を夢見て」by ジョー・ウォルシュ)



サリンジャー氏の魂の眠る場所…ライ麦畑よ、永遠に…。




ウィキペディア「ライ麦畑でつかまえて」


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「ライ麦畑でつかまえて」野崎孝訳




野崎氏訳とはまた趣の異なる村上春樹氏の翻訳も味わい深い…



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「キャッチャー・イン・ザ・ライ」村上春樹訳




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テーマ:読書 - ジャンル:小説・文学

  1. 2020/05/14(木) 15:32:44|
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イニュニック [生命] ~アラスカの原野を旅する

【イニュニック [生命] ~アラスカの原野を旅する】  

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イニュニック [生命] ~アラスカの原野を旅する

星野道夫・著 (新潮文庫)


写真家(cameramanではなくphotographer)と呼ばれる職業に憧れた時期が私にもあった。

写真というメディアを使って真実を人々に伝えるという行為は確かに簡単なものではないだろう。

その技術(ハード)面だけでなく、何を撮るかといったソフト面がむしろ重視されるからだ。

ファインダーを通して見た世界が、自分自身というフィルターを経て大衆に伝えられる時、

そこに含まれた真実がいかにリアルなものとして人々の目に映るか、

そういった可能性を追求していくのもまたこの職業が持つ魅力だと思う。

著者は慶応大学卒業後にアラスカ大学へ留学、

以後極北の野生動物や先住民(イヌイット)の暮らしなどを写真と文章で記録しつづけた。

言葉も分からぬままイヌイットたちの集落に単身飛び込んだその大胆さにも驚かされるが、

その地に骨を埋める覚悟で‘90年アラスカの原野に小屋を建て、

以後3年間の暮らしがこの「イニュニック」には記されている。


何かをやり始めたら後先考えずに寝食も忘れてそのことに傾注する。

学者やアーティストにはそういったタイプの方々がいらっしゃる。

それゆえに、いろんなものを犠牲にすることにもなりうる(当人は「犠牲」だなんて思わないもの)。

きっと星野さんもまたそんな人だったのだろう。


「生命」とは「生きる」とは一体どういうことなのか?

自分を含む生きとし生けるもののすべてに同じように時間が流れ、

それぞれに過去があり未来があるけれども、すべてが「今」という時間に集約されている。

その「今」を精一杯生きている野生動物の魂の輝きまでをレンズにとらえた氏の瞳の鋭さ、

そして常に「今」という一瞬を全力で生きた彼の言葉のひとつひとつにもその魂が込められている。


これは単なるエッセイではなく、かといってありふれた写真集でもない。

彼の著作を読んでいく内に、生涯を賭けて貫き通そうとした一人の人間のドラマをも読み取ることができるだろう。

‘96年ロシア・カムチャッカでヒグマに襲われ急逝するまでの20年、

極北の地においてその生を全うした男のロマンを追体験してみたい。




テーマ:オススメの本の紹介 - ジャンル:本・雑誌

  1. 2020/05/11(月) 06:18:55|
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アルジャーノンに花束を

【アルジャーノンに花束を】

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「アルジャーノンに花束を(FLOWERS FOR ALGERNON)」

ダニエル・キイス著・小尾芙佐訳 (早川書房)



チャーリー・ゴードンはパン屋の店員で32歳。

幼児の知能のまま大人になってしまった彼にビークマン大学の精神科医ストラウス博士は、天才に生まれ変われるという脳手術を勧める。

その申し出に大喜びのチャーリーは、連日の検査を経て手術を受けることになる。

手術は成功し、チャーリーは日に日に記憶力を高め、今まで知らなかった外国語をたった一日で習得するほどの大天才に変わってしまった。

一方で、同じ手術を受けた白ネズミのアルジャーノンも恐るべき知能を発達させ、チャーリーとともにストラウス博士たちの研究材料となっていた。

知能を発達させることで、チャーリーとアルジャーノンはひと時の幸せを手にしたように見えたが、

その実、彼らを待ち受けていたものは決してそのようなものではなかった...。



32歳にして思春期を経験することになったチャーリー。

戸惑い、葛藤しながらも彼が追求しつづけたものは...。

悲しい結末に涙を流したら、心が洗われる思いがする。

それは自らの精神の浄化作用なのか、あるいはこれが「アルジャーノン・ゴードン現象」なのか?


幼児の知能が徐々に天才の知能に移行していく流れを文字だけで巧みに表現している。

翻訳も素晴らしいのだけれど、英語ができる方はオリジナルで読む価値あり。



2002年にフジテレビがドラマ化したことでも話題になった。

1959年に中編小説として発表され、1966年に長編小説として改作されたが、いずれも秀作として文学賞を受賞している。

60年も前に書かれた小説とはいえ、いつ読んでも新しい。


僕自身はといえば、ごく普通に子供から大人になってきたつもりだけれど、

実は今なお自分の中には子供の部分も残っているはずだろうし、あえて出す必要がないから隠しているのかもしれない。


知能(知性)とは何か?

人間にとって本当の幸せとは何か、あらためて考えさせられる。


テーマ:読書 - ジャンル:小説・文学

  1. 2020/05/10(日) 06:32:10|
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森の生活〜ウォールデン

【森の生活〜ウォールデン】

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I went to the woods because I wished to live deliberately,

to front only the essential facts of life,

and see if I could not learn what it had to teach,

and not, when I came to die, discover that I had not lived.

I did not wish to live what was not life,

living is so dear;

nor did I wish to practice resignation,

unless it was quite necessary.



“WALDEN, OR LIFE IN THE WOODS” by Henry David Thoreau (1854)





私が森に引きこもったのは

思慮深く生きたかったから

生きていくのにきわめて重要な事実から目を背けないように

生きることから教えられるものはないかどうかを模索するために

自分が死ぬ段になって

生きていなかったというようなことを悟りたくなかったから

私は人生と呼べないような人生を送るつもりは毛頭なかった

どうしようもない状況にならない限り

生きることにこだわり続けたかったから

生きることはそれだけ大切なことなのだ





---H.D.ソーロー「森の生活」より  *翻訳:高繁勝彦



*****




ソーローが教えてくれること…


思慮深く生きること

生きることから学ぶこと

生きるのに必要な事実から目を背けないこと

生きることを心から堪能すること




じっくり考えれば分かることがある。

失敗でさえも成功に変えられる叡智を人は持っているはず。

生きるのに必要なものにはしっかり目を向けよう。

生きていくのに必要でないものは人生から排除しよう。



欲望よりも理性の力をうまく生かすこと。

そんな中で自分自身の生き方を見いだして、とことんそれを楽しむこと。

そこで感性は磨かれ、自分だけの生き方が生まれてくるというもの。



驚くべきことに、ソーローは19世紀半ばにして既に断捨離の概念を実践していたのだ。

周りからいくら「変わり者」扱いされようと、彼は自分の生き方にとことんこだわった。

俗世間から離れてみて、初めて真の自分自身を知るようになったのだろうか。

シンプルでピュアな生き方を求めるがために、旅に出るのもきっと同じ原理なのかも知れない。


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独身時代の、自分にとってささやかながら最大の贅沢といえば、ひとり旅だった。

ふと思い立って最小限の生活道具をバックパックに詰め込んで近くの山へ出かける。

テントの中で、インスタントラーメンを食べた後、

シェラカップに注いだアールグレイティをすすりながら、

ランタンのほのかな灯りの下で読む一冊の文庫本、それが誰のどんな本であれ、

渇いた自分の知的欲求を満たすには欠かせないものになる。



テントというひとつの空間は僕にいろんな夢を見せてくれる。

鳥の歌声で目覚めると、朝露の水滴が陽の光を受けてテントの屋根でキラキラ光っている。

寝袋の中で、僕は果てしなく自由なのだと感じずにはいられなくなるだろうし、

憂うつな雨の日には、冒険の夢を思い描きながらさまざまな思索にふけってみたりする。

そんなテントの中で幾度も繰り返し読んだ一冊、

今や、アメリカ文学の古典であり、エコロジストたちのバイブルとも言われている、

それがH.D.ソーロー(1817-1862)の『森の生活』だ。



ソーローはハーヴァード大学卒業後、約10年間教師生活を送るが、

生徒たちに体罰を加えることに反対し、学校側と意見が合わず対立、そして辞職。

その後短期間の肉体労働や執筆活動で生計を立てながら読書と思索にふける日々を送る。

1845年、28歳の時に、街から離れたウォールデン池のほとりに小屋を建て、

2年と2ヶ月をそこで暮らすことになる。「森の生活」はその時の生活体験報告でもある。

金儲けにはたいした興味を示さず、自給自足に徹し、肉食をせず、

もちろん飲酒喫煙もしなかったが、恋愛さえすることもない。

彼は、自分を束縛する全てのものから自分自身を解放しようとしていたのだ。

そんな質素な生活の中で自然を心ゆくままに堪能し、

人生の意義をひたすら追究しつづけた彼のライフスタイルに、

僕は強く惹かれるものを感じてしまう。



現代人はとかく時間にとらわれがちで、

人間自らが便宜上創りだした1日24時間というシステムに

縛られるようにして毎日を過ごしている。

ある日僕は、ソーローが体験したように、

時間にとらわれることのない暮らしを送ろうと旅に出た。

アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドを銀輪で駆けつづけ、

生活から一切の不必要なものを排除するよう努めた。

その3年あまりの年月は、腹が減れば食べ、眠くなれば眠る、

そんな風にシンプルではあるが、

人生において本当に必要なものを探求していた自分にとっては充実した毎日だった。

ただ本能のままに生きるのではなく、そこに思慮深さがプラスされることで、

人生はいくらでも味わい深いものになるということを、僕は学んだのだった。



俗世間から閉ざされていてもそこには素晴らしい発見があり、出会いの歓びがある。

人間というこのちっぽけな存在もまた自然を構成する一要素にすぎないと悟った時に、

人は生きることの精髄を味わうことができるのだろう。

自然に根ざした暮らしを続けていく内に、

自分自身が自然の中に含まれるということにきっと快感を覚えるようになるはず。



今、再び、冒頭のソーローの一節を口ずさみながら、

完璧なまでの自由人を目指したソーロー自身の魂の声に耳を傾けてみたい。

   

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  1. 2020/05/09(土) 05:39:33|
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プロフィール

KAY(高繁勝彦)

Author:KAY(高繁勝彦)
走る旅人:アドヴェンチャー・ランナー、サイクリスト(JACC=日本アドベンチャーサイクリストクラブ評議員)、ALTRA JAPANアンバサダー、 YAMANOVAコーヒーアンバサダー、ARUCUTO一本歯下駄アンバサダー、旅人、詩人・アーティスト、クリエイター、ナチュラリスト…。元高校教師(英語)。  
大阪府松原市生まれで、現在、大阪府富田林市に在住。妻はミュージシャンでかつてぴよぴよ名義で「らんま1/2」エンディングテーマ「虹と太陽の丘」を歌っていた。

楽天ブログ時代(2006.4.2)からノンストップブログ更新中。公式サイト 「PEACE RUN 世界五大陸4万キロランニングの旅」“KAY’S WORLD”もよろしくお願いします。 プロフィール詳細はこちら。 

二度の日本縦断(「PEACE RUN 2010日本縦断ランニングの旅(3,443km)「PEACE RUN2012 日本縦断ランニングの旅 PART2(3,482.3km)」で実質の日本一周ランニング6,925kmの旅を完結。 

2011年はPEACE RUN 2011アメリカ横断5,285kmランニングの旅を138日で完了。 2013年9月から163日で「PEACE RUN2013オーストラリア横断ランニングの旅」5,205kmを走破。 

2014年11月から2015年2月、83日でPEACE RUN2014ニュージーランド縦断ランニングの旅2,796.6kmを走破。 2016年7月〜11月、110日間で7カ国3,358.8キロ、「PEACE RUN2016ヨーロッパランニングの旅」を走破。 

2017年9月〜10月、「PEACE RUN2017四国一周ランニングの旅」1000キロ走破。2018年5月「九州一周ランニングの旅」で約900キロ走破。 

2011年3月14日、東日本大震災の3日後、「RUN×10(ラン・バイ・テン)運動」を発案・提唱、全国に展開させる。 

2012年末、facebook上の公開グループ、平和的環境美化集団"THE SWEEPERS"を発足、活動を展開中。 

2014年、一本歯下駄で世界平和をめざすfacebook上の公開グループ「一本歯下駄クラブ」を発足、活動を展開中。 講演・セミナー・取材などの問い合わせ・依頼は下のメールフォームでお願いします。

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