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KAY'S BLOG

独行道~Lonesome Road of Running

図書館にまつわるお話

【図書館にまつわるお話】

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村上春樹の小説で図書館がしばしば登場するけれど、その内のひとつはこれ…

本を借りようと図書館にやってきた主人公は、なぜか地下室に連れて行かれて、老人に牢屋に閉じ込められてしまう。

老人は新月の日だけ眠るので、この日を待って、羊男と美少女と一緒にこの地下室を脱出しようと計画する…

という非条理なお話。

羊男は「羊をめぐる冒険」でも登場しているが何となくシュールでどこか憎めないキャラが面白い。

初出は短編集「カンガルー日和」だが、いくつか絵本になって登場している。



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そして、図書館が登場するもう一つの作品は、村上春樹にとって最初の長編小説。

彼の作品群で個人的には僕が最も好きな作品。

「ハードボイルド・ワンダーランド」の章と「世界の終り」の章が交互に進行し、それぞれ世界を異にする一人称視点(「私」と「僕」)で描かれる。

この「世界の終わり」の章で、図書館が登場する。

そこで古い夢を読む僕を補佐するのが司書役の少女だ。

彼女は「街」の他の人々と同様「心」を持たない。

さまざまな謎が謎を呼ぶ、冒険的な物語ではあるけれど、そこにはいろんな比喩や風刺が含まれているのだろう。

二つの世界(パラレルワールド)が最後にはどこかでつながる…?

「1Q84」にもパラレルワールドが登場するが、一見異なる二つの世界は我々の内にもきっと存在している。

第21回谷崎潤一郎賞受賞作品。



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テーマ:読書 - ジャンル:小説・文学

  1. 2020/10/27(火) 06:02:47|
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森の中を歩くように僕は本を読む

 【森の中を歩くように僕は本を読む】

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高校時代は「本の虫」と言われるほど、次から次に濫読を繰り返した。

年間百冊を越えたこともあったが、そのジャンルも、ニーチェにフロイト、松本清張に星新一、司馬遼太郎に吉川英治、夏目漱石に三島由紀夫…と多岐に渡る。

それらの大半は学校の図書室や町の図書館で借りたもので、時々本屋に出入りしてはささやかながら自分の小遣いで気に入ったものを買って読んだ。

電車の中で読み、公園のベンチで読み、河辺の堤防に腰を下ろして読み、はてはまたトイレで読んだ。

今思えば、あれだけ活字に触れておきながらよく目を悪くしなかったものだ。ありがたいことに老眼の兆候もなく、視力は今も1.5〜2.0の間でまだ衰えていない。

安上がりな趣味と言われれば実際そうかも知れないが、読書にはそれ以上に様々な魅力が秘められていると思う。

探偵になって凶悪犯を見つけたり、王子様になって美しいお姫様と結婚したりすることは、自分の身には実際起こりえないことだけれど、物語の世界ではそれが可能なのだ。

イマジネーションを膨らませれば、僕たちは極地探検にだって行けるし、スペースシャトルで宇宙旅行もできる。日常のありふれた世界からワンダーランドに飛び出せる、それが物語の世界だ。

ありふれた日常を非凡なものにするために、活字を目で追いながら、僕たちはしばし現実逃避の旅に出る。


図書館という場所は僕にとって「森」のような存在だった。

うっそうと茂った木々のように、本はずっとそこにあって僕が現れるのを待っている。

そこではいろんな知識が眠り、誰かがページをめくればいつでも物語の始まりを知ることができる。

図書館の静寂に包まれたあの独特の雰囲気が僕は好きだ。

書架と書架の間を走る、人一人がやっと通れる幅の通路に僕は立ち、年代ものの辞典が放つクラシカルな匂いもかぐわしく、気まぐれに取り出した一冊の本を手に取ってみる。

森の中をさまよい歩きながら無作為に選んだ一本の大木に触れるように、何か運命的な出逢いを感じる瞬間、あるいはこれは単に僕の「デ・ジャヴ(既視感)」なのだろうか。



ページをめくるたび、そこには未知の世界が広がっている。

そのような世界に通じる扉をひとつずつ開いていく行為は、僕にとって何よりも贅沢であった。

街の図書館であれ、学校の図書室であれ、僕はこのささやかな贅沢を自分なりに満喫していたものだ。


社会人になって、本を借りるということをしなくなった。

借りてきた本がすごく面白いものであったり、感動するような素晴らしい作品であった時に、その感動までが借り物だというふうに思いたくなかったから、たいていの本は自分の手元に置いておくために、いつしか本屋で買うという習慣がついてしまった。

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デジタルの時代、今はキンドルや電子書籍が出回っている。アナログ世代の人間である私にはやはり紙のメディアがいい。紙の麗しい薫りや手ざわりもさることながら、面白い小説の1ページ1ページをめくるワクワク感というのはやはり捨てがたいものがある。

たいていの情報はインターネットで手に入るようになってしまった。

時折、気になる小説を探したりするために古本屋に立ち寄ることはあるけれど、もう昔ほど活字に飢えることも濫読するということもなくなった。

若い頃は、ただやみくもに本屋に入っては、目に付く本を買いあさり、それらが自分の部屋の机に積み重ねられているのを眺めているのがある意味贅沢な時間でもあったのだ。

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時々僕は、あれらの森のことを考える。

森は深く、木々の一本一本がいつも僕に何かを語りかけていた。



僕はそんな森の中を歩くように本を読むのだ。




*読書の秋:明日から読書週間
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10月27日から11月9日までの2週間は読書週間。

デジタルが日常のツールとして当たり前になりつつありますが、時にはアナログ、紙のメディアにふれてみませんか?

読書週間の歴史について調べてみました…

* 公益社団法人 読書推進運動協議会のサイトから引用

「終戦まもない1947年(昭和22)年、まだ戦火の傷痕が至るところに残っているなかで

「読書の力によって、平和な文化国家を作ろう」という決意のもと、

出版社・取次会社・書店と公共図書館、そして新聞・放送のマスコミ機関も加わって、

11月17日から、第1回『読書週間』が開催されました。 

そのときの反響はすばらしく、翌年の第2回からは期間も10月27日~11月9日

(文化の日を中心にした2週間)と定められ、この運動は全国に拡がっていきました…」



つづきはこちらで…




テーマ:今日の出来事 - ジャンル:日記

  1. 2020/10/26(月) 14:46:57|
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ライ麦畑よ、永遠に

【ライ麦畑よ、永遠に】

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I’d just be the catcher in the rye and all. I know it’s crazy,

but that’s the only thing I’d really like to be.

ライ麦畑のつかまえ役、そういったものに僕はなりたいんだよ。

馬鹿げてることは知ってるよ。

でも、ほんとうになりたいものといったらそれしかないね。


*****


2010年に他界したJ.D.サリンジャー、今年で没後10年。

今から40年ばかり昔、高校時代に野崎孝の「ライ麦畑でつかまえて」を初めて読んだ。

当時、大人になんかなるもんか…と啖呵を切っていた自分。

いかに幼稚で戯けたことを考えていたか、当時の日記を読み返せばよく分かる。


少年時代の、カミソリのように鋭く繊細な部分、当時、ホールデン少年に共感を覚えた仲間は多かった。

大人の穢れや醜さで、少年の純粋なハートを決してスポイルしてはなるまい…そんな思いで僕たちは必死だったのだろう。


1989年のアメリカ映画「フィールド・オブ・ドリームス」(ケヴィン・コスナー主演)を見た時に、

ジェームズ・アール・ジョーンズ演じるテレンス・マンというサリンジャー氏をイメージさせる作家が登場してくる。

(映画の原作となるW・P・キンセラの小説『シューレス・ジョー』ではサリンジャー氏が実名で出てきている)


少年の瞳の輝きを忘れないこと。

いつでもハートは熱く、決してプアでチープなものにしないこと。

たとえあざ笑われたとしても、自身の生き方に信念を貫き通せること。


偏屈や変わり者といわれても、それを個性と主張する。

世間との煩わしい接触を避け、引きこもりながらも自分自身の喜びを追及する。


生き方をシンプルにすればするほど悩み事は減っていくもの。

それを僕は「ミニマリズム(最小限主義)」と呼んでいる。

身辺整理をすることで、持つべきものも、人との関わりも、最低限にとどめてしまえば煩わしさは解消されるはず。


ホールデン少年は、誰の心にもいる。

それを自由に表に出せないジレンマ(葛藤)と戦いながら、人は知らず知らずのうちに大人になっていく。



どうして我々はそんなに早く大人にならねばならぬのだろう?
(Why must we grow up so fast?)


---"Pretty Maids All in a Row" by Joe Walsh
(「お前を夢見て」by ジョー・ウォルシュ)



サリンジャー氏の魂の眠る場所…ライ麦畑よ、永遠に…。




ウィキペディア「ライ麦畑でつかまえて」


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「ライ麦畑でつかまえて」野崎孝訳




野崎氏訳とはまた趣の異なる村上春樹氏の翻訳も味わい深い…



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「キャッチャー・イン・ザ・ライ」村上春樹訳




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テーマ:読書 - ジャンル:小説・文学

  1. 2020/05/14(木) 15:32:44|
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イニュニック [生命] ~アラスカの原野を旅する

【イニュニック [生命] ~アラスカの原野を旅する】  

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イニュニック [生命] ~アラスカの原野を旅する

星野道夫・著 (新潮文庫)


写真家(cameramanではなくphotographer)と呼ばれる職業に憧れた時期が私にもあった。

写真というメディアを使って真実を人々に伝えるという行為は確かに簡単なものではないだろう。

その技術(ハード)面だけでなく、何を撮るかといったソフト面がむしろ重視されるからだ。

ファインダーを通して見た世界が、自分自身というフィルターを経て大衆に伝えられる時、

そこに含まれた真実がいかにリアルなものとして人々の目に映るか、

そういった可能性を追求していくのもまたこの職業が持つ魅力だと思う。

著者は慶応大学卒業後にアラスカ大学へ留学、

以後極北の野生動物や先住民(イヌイット)の暮らしなどを写真と文章で記録しつづけた。

言葉も分からぬままイヌイットたちの集落に単身飛び込んだその大胆さにも驚かされるが、

その地に骨を埋める覚悟で‘90年アラスカの原野に小屋を建て、

以後3年間の暮らしがこの「イニュニック」には記されている。


何かをやり始めたら後先考えずに寝食も忘れてそのことに傾注する。

学者やアーティストにはそういったタイプの方々がいらっしゃる。

それゆえに、いろんなものを犠牲にすることにもなりうる(当人は「犠牲」だなんて思わないもの)。

きっと星野さんもまたそんな人だったのだろう。


「生命」とは「生きる」とは一体どういうことなのか?

自分を含む生きとし生けるもののすべてに同じように時間が流れ、

それぞれに過去があり未来があるけれども、すべてが「今」という時間に集約されている。

その「今」を精一杯生きている野生動物の魂の輝きまでをレンズにとらえた氏の瞳の鋭さ、

そして常に「今」という一瞬を全力で生きた彼の言葉のひとつひとつにもその魂が込められている。


これは単なるエッセイではなく、かといってありふれた写真集でもない。

彼の著作を読んでいく内に、生涯を賭けて貫き通そうとした一人の人間のドラマをも読み取ることができるだろう。

‘96年ロシア・カムチャッカでヒグマに襲われ急逝するまでの20年、

極北の地においてその生を全うした男のロマンを追体験してみたい。




テーマ:オススメの本の紹介 - ジャンル:本・雑誌

  1. 2020/05/11(月) 06:18:55|
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アルジャーノンに花束を

【アルジャーノンに花束を】

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「アルジャーノンに花束を(FLOWERS FOR ALGERNON)」

ダニエル・キイス著・小尾芙佐訳 (早川書房)



チャーリー・ゴードンはパン屋の店員で32歳。

幼児の知能のまま大人になってしまった彼にビークマン大学の精神科医ストラウス博士は、天才に生まれ変われるという脳手術を勧める。

その申し出に大喜びのチャーリーは、連日の検査を経て手術を受けることになる。

手術は成功し、チャーリーは日に日に記憶力を高め、今まで知らなかった外国語をたった一日で習得するほどの大天才に変わってしまった。

一方で、同じ手術を受けた白ネズミのアルジャーノンも恐るべき知能を発達させ、チャーリーとともにストラウス博士たちの研究材料となっていた。

知能を発達させることで、チャーリーとアルジャーノンはひと時の幸せを手にしたように見えたが、

その実、彼らを待ち受けていたものは決してそのようなものではなかった...。



32歳にして思春期を経験することになったチャーリー。

戸惑い、葛藤しながらも彼が追求しつづけたものは...。

悲しい結末に涙を流したら、心が洗われる思いがする。

それは自らの精神の浄化作用なのか、あるいはこれが「アルジャーノン・ゴードン現象」なのか?


幼児の知能が徐々に天才の知能に移行していく流れを文字だけで巧みに表現している。

翻訳も素晴らしいのだけれど、英語ができる方はオリジナルで読む価値あり。



2002年にフジテレビがドラマ化したことでも話題になった。

1959年に中編小説として発表され、1966年に長編小説として改作されたが、いずれも秀作として文学賞を受賞している。

60年も前に書かれた小説とはいえ、いつ読んでも新しい。


僕自身はといえば、ごく普通に子供から大人になってきたつもりだけれど、

実は今なお自分の中には子供の部分も残っているはずだろうし、あえて出す必要がないから隠しているのかもしれない。


知能(知性)とは何か?

人間にとって本当の幸せとは何か、あらためて考えさせられる。


テーマ:読書 - ジャンル:小説・文学

  1. 2020/05/10(日) 06:32:10|
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プロフィール

KAY(高繁勝彦)

Author:KAY(高繁勝彦)
走る旅人:アドヴェンチャー・ランナー、サイクリスト(JACC=日本アドベンチャーサイクリストクラブ評議員)、ALTRA JAPANアンバサダー、 YAMANOVAコーヒーアンバサダー、ARUCUTO一本歯下駄アンバサダー、旅人、詩人・アーティスト、クリエイター、ナチュラリスト…。元高校教師(英語)。  
大阪府松原市生まれで、現在、大阪府富田林市に在住。妻はミュージシャンでかつてぴよぴよ名義で「らんま1/2」エンディングテーマ「虹と太陽の丘」を歌っていた。

楽天ブログ時代(2006.4.2)からノンストップブログ更新中。公式サイト 「PEACE RUN 世界五大陸4万キロランニングの旅」“KAY’S WORLD”もよろしくお願いします。 プロフィール詳細はこちら。 

二度の日本縦断(「PEACE RUN 2010日本縦断ランニングの旅(3,443km)「PEACE RUN2012 日本縦断ランニングの旅 PART2(3,482.3km)」で実質の日本一周ランニング6,925kmの旅を完結。 

2011年はPEACE RUN 2011アメリカ横断5,285kmランニングの旅を138日で完了。 2013年9月から163日で「PEACE RUN2013オーストラリア横断ランニングの旅」5,205kmを走破。 

2014年11月から2015年2月、83日でPEACE RUN2014ニュージーランド縦断ランニングの旅2,796.6kmを走破。 2016年7月〜11月、110日間で7カ国3,358.8キロ、「PEACE RUN2016ヨーロッパランニングの旅」を走破。 

2017年9月〜10月、「PEACE RUN2017四国一周ランニングの旅」1000キロ走破。2018年5月「九州一周ランニングの旅」で約900キロ走破。 

2011年3月14日、東日本大震災の3日後、「RUN×10(ラン・バイ・テン)運動」を発案・提唱、全国に展開させる。 

2012年末、facebook上の公開グループ、平和的環境美化集団"THE SWEEPERS"を発足、活動を展開中。 

2014年、一本歯下駄で世界平和をめざすfacebook上の公開グループ「一本歯下駄クラブ」を発足、活動を展開中。 講演・セミナー・取材などの問い合わせ・依頼は下のメールフォームでお願いします。

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