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独行道~Lonesome Road of Running

実録 木津川マラソン その2

【実録 木津川マラソン その2】

orion


1キロごとの距離表示はありがたい。

1時間半の遅れは半端ではなかった。

最終走者に追いついたのが10キロを過ぎたあたり。

視覚障害者のランナーとその伴走者だった。

一本の輪になったロープが二人を結ぶ絆。

「頑張ってください」と声をかけて二人を抜き去った。



サイクリングロードのコースを走るのだが、

あちこちに水たまりができていて、靴の中にも水が浸入。

2年前に名古屋熱田神宮から伊勢神宮を走った時に、

解けた雪がべとべとになっていて、靴の中は氷水状態だった。

走っている内はまだいいのだが、止まってじっとしていると足の感覚がなくなってくる。


2人ともエイドステーションではお茶やバナナ、ロールパンをこまめにとる。

K本くんはふくらはぎや太ももにダメージが来ていたようで、

エイドステーションで毎回エアサロンパスをスプレーするように努めた。


ペースは多少落ちたかもしれないがほぼ一定。

エイドステーションごとに1分程度休憩をとりつつも、

歩くことは一度もなく全コース走ってきている。


二人は、マラソンを完走するということがどういう意味を持つのか、

身をもって経験しつつあるのだ。


後半は曇り空、時折雨がぱらつくが走っていて気になることもなかった。

最後の折り返しで追い風に変わったことも救いだった。


エイドステーションのおじさんやおばさんたちが毎回声をかけてくれて、

市民マラソンならではのぬくもり・暖かさを感じる。


30キロ、あと12キロ。

思ったよりもいいペース。

すれ違うランナーたちは折り返してきて、ゴールまでもうあと数キロというところ。

前にいる歩いているランナーたちを次々に追い越していく。

1時間半遅れた分を今取り戻しつつあるのだ。



35キロ、K本くんが少し辛そうな表情を浮かべる。

少しペースを落とす。体力的には問題ないが、足にかなり来ているようだ。

初めてのマラソンゆえにいろんなことが起こりうる。



ゴールのある赤い山城大橋が見えてきたら、残りはあと数キロ。

足を引きずりながら歩いているランナーがたくさんいたが、

そんなランナーを横目に、我ら3名は快調なペースで走り続ける。


「ここまできたら必ず完走するぞ」

「よっしゃ」



Y口くんとK本くんのやりとりだった。


「大学行ったら陸上部に入ります。長距離をやりたいんで…」


K本くんがふともらしたその言葉は意外だった。

高校入学した頃は走るのが大嫌いだったという。

それでも野球部に入って毎日体を鍛えながら過ごしてきた

そのおかげで、3年たった今は体力にもかなり自信を付けてきている。

つい先日行われた校内の卒業記念マラソン大会でも

9位に入賞した彼の目覚しい成長振り…。

努力は必ず報われるということか。


「また来年もこの大会走ろう」


そういうふうに2人は固く誓った。


一方のY口くんも中学1年生から野球をやってきた。

小柄だが人並みはずれたスタミナがある。

伊賀上野シティマラソン10キロも40分台前半をマーク。

卒業記念マラソンも2位という輝かしい記録。

走ることの楽しさをじわじわと感じ始めてくれているのだ。



チャレンジすること。それは自分の成長の証(あかし)。

今までできなかったことをできるようにすることが努力であり、

全力で努力し続ければ、必ず自分自身を変えられる。

なりたい自分になる方法、それは、

よりはっきりと自分自身のイメージを創りあげること。

目標・ゴールがはっきりしていれば、

そこに近づくための方法もおのずとはっきりしてくるもの。


40キロ地点を通過。

もうあとはゴールまで一直線。

最後の高架道路下をくぐるが、遠くから

「ゴールまで あと 夢の195m」

という黄色い登りが見える。


沿道の声援、ボランティアたちの拍手、場内アナウンス…会場はにぎわっていた。

「最後のパフォーマンスどうします?」

Y口くんが言った。


「3人で両手を挙げて笑顔でゴールしよう」

自分がそう提案する。彼らは無言の代わりに笑顔でうなずいた。


ゴールにある計時塔は6時間20分を示していた。

1時間半スタートが遅れていたので、実走時間は4時間50分。


「よし、ゴールだ」


3人手を取り合って、最後の下り坂を駆ける。


「おかえりなさい!」


ボランティアをしていた仲間が笑顔で声をかけてくれる。


ゴールラインを通過し、2人の初フルマラソンチャレンジは終わった。

一歩も歩かず、文字通りの「完走」である。

スタートが遅れて公式記録は出なくても、

ゴールをした・完走したという事実には変わりはない。

この悪天候・気象条件・1時間半遅れてのスタート…。

悪条件がいくつも重なって、こんな逆境の中でも見事最後まで走り切ったのだ。

2人にとっては感無量だったろう。


卒業を前に、またひとついい思い出ができたに違いない。


初マラソン完走の喜びは、時間とともに深みを増してくる。

足が痛むのは、完走したという喜びを実感するため。

 

今日のこのゴールが、人生という長いマラソンを

最後まで走り抜けるための1ステップであるということを

感じ取ってもらえるのであればありがたい。

 

Congratulations and well done!

(おめでとう、でかしたよ!)

 

二人に盛大な拍手と心からの祝福を…。

 






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テーマ:日記 - ジャンル:日記

  1. 2008/02/05(火) 00:19:11|
  2. マラソン・ランニング
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:11

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プロフィール

KAY(高繁勝彦)

Author:KAY(高繁勝彦)
走る旅人:アドヴェンチャー・ランナー、サイクリスト(JACC=日本アドベンチャーサイクリストクラブ評議員)、ALTRA JAPANアンバサダーYAMANOVAコーヒーアンバサダー、エコマラソンアンバサダー、エプソンTRUMEアンバサダー。ふるさと富田林応援団アンバサダー。

旅人、詩人・アーティスト、クリエイター、ナチュラリスト…。元高校教師(英語)。  
大阪府松原市生まれで、現在、大阪府富田林市に在住。

楽天ブログ時代(2006.4.2)からノンストップブログ更新中。公式サイト 「PEACE RUN 世界五大陸4万キロランニングの旅」“KAY’S WORLD”もよろしくお願いします。 プロフィール詳細はこちら。 

二度の日本縦断(「PEACE RUN 2010日本縦断ランニングの旅(3,443km)「PEACE RUN2012 日本縦断ランニングの旅 PART2(3,482.3km)」で実質の日本一周ランニング6,925kmの旅を完結。 

2011年はPEACE RUN 2011アメリカ横断5,285kmランニングの旅を138日で完了。 2013年9月から163日で「PEACE RUN2013オーストラリア横断ランニングの旅」5,205kmを走破。 

2014年11月から2015年2月、83日でPEACE RUN2014ニュージーランド縦断ランニングの旅2,796.6kmを走破。 2016年7月〜11月、110日間で7カ国3,358.8キロ、「PEACE RUN2016ヨーロッパランニングの旅」を走破。 この後もアジア、アフリカ・南米と旅は続きます。

2017年9月〜10月、「PEACE RUN2017四国一周ランニングの旅」1000キロ走破。2018年5月「九州一周ランニングの旅」で約900キロ走破。2023年10月「気まぐれぶらり旅:山陰道937キロ走破。

2024年にヨーロッパランニングの旅PART2を計画中。

2011年3月14日、東日本大震災の3日後、「RUN×10(ラン・バイ・テン)運動」を発案・提唱、全国に展開させる。 

2012年末、フェイスブック上の公開グループ、走りながらゴミを拾う「拾活(しゅうかつ)」に取り組む平和的環境美化集団"THE SWEEPERS"を発足、活動を展開中。 

2014年、一本歯下駄で世界平和をめざすフェイスブック上の公開グループ「一本歯下駄クラブ」を発足、活動を展開中。 講演・セミナー・取材などの問い合わせ・依頼は下のメールフォームでお願いします。

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