【映画「うたごころ」】
大阪府堺市にあるイオンモール北花田の3階イオンホールに行ってきた。
イオン 心をつなぐプロジェクト主催~ドキュメンタリー映画「うたごころ」2011年版全国チャリティー上映ツアーの一環として、いよいよこの映画が大阪で上映される日を迎えたのだ。
*あらすじ(「うたごころ」公式サイトから)
2011年3月11日に発生した、東日本大震災。未曾有の苦難が幾多の人々にのしかかる中、それに屈せず、ひたむきに生きる女子高校生たちの姿を描く、ドキュメンタリー映画がある。
現在も撮影を続けている「うたごころ~宮城・三陸/女子高校生たちの青春」。
宮城県で自宅を津波で失った女子高校生と、大阪のプロボーカリストたちが「合唱」を通して、人と人との”絆”を深めていく姿を描き出す*映画についての詳細は
「うたごころ」の公式サイトと数日前のKAY’S BLOG
「復興支援は終わらない」で…。
参加費は1000円となっているが、収益は、岩手、宮城、福島の子どもたちを支える育英基金に全額寄付される。
12:30PM開場の1時間以上も前に到着。
準備中の会場内に監督の榛葉健さんの姿を発見、約半年振りの再会。
あいさつをさせていただいた。
榛葉さんとは昨年、前作
「with…若き女性美術作家の生涯」の上映会で初めてお会いした。
*その日のブログは
こちら。
その際も、
JACC日本アドベンチャーサイクリストクラブ代表の池本元光さんと同国際部長の中西大輔さんらと同行。
がんを克服して18年がかりで地球一周の旅を続ける奈良県のサイクリスト、JACC評議員シール・エミコさんの取材を世界各地で10年間継続されてきているので、榛葉さんはJACCとのつながりも深い。
*この件に関しては
中西大輔さんのブログでも触れられている。
その時も、作品に表れた感性の豊かさにずっと惹かれるものを感じていたので、今回も必ず素晴らしいものができあがるだろうと期待していたのだ。
開場までモール内をブラブラしながら時間つぶし。
12:20頃再度会場へ。
ホールの入り口までの通路では、南三陸町在住の写真館主・佐藤信一さん(写真集「南三陸から」はベストセラー)の写真展も行われていた。
この映画の前半を中心に登場している寺尾仁志さんと
human noteは去年、PEACE RUNも関わっていた「ウタのチカラ」というイベントで初めて歌声を聞かせて頂いた。
総勢700名の合唱団(クワイヤ)を取りまとめるのが寺尾さん。
元々ゴスペルでメジャーデビューした経歴。
さすがに聞かせるべき歌とその声に秘められた魂を感じるソウルシンガー。
これまでにも阪神・淡路大震災のあった神戸や、バリ、ハイチやカンボジア、ケニアなど、世界各地の困窮地帯を訪ね、物資の提供のみならず、歌を通じて現地の人々を励ますといった独自の支援活動を展開してきている。
「うたごころ」製作の段階で寺尾さんがこの映画に登場するということを知って、何かまた不思議なつながりが生まれてきたように感じた。
映画上映の前にイオン気仙沼店の復興のドキュメンタリー映画が上映された。
いち早く被災地で食料品を販売し始め、地域と人々とのつながりを大切にしてきた流れ…。
その当時の様子は直接見ていないので分からないのだが、恐らくそれは敗戦直後の、かつて実際にあったはずの日本の姿そのままだったのではないか…。
そして、映画本編。
2011年3月11日に発生した東日本大震災の約2ヵ月後、寺尾仁志さんはhuman noteのメンバーと共に東北へ向かう。
絶望的な光景…あらゆるものが一瞬にして津波の泥流に流され消えてしまったあとを目の当たりにして寺尾さんは絶句する。
避難所の小学校の体育館で出会った一人の女子高生…寺尾さんたちの歌に励まされ、今一度頑張ろうという気持ちに変わっていく。
家族とのつながり…家は失ってしまったけれど、家族だけは失うことはなかった。
命を懸けてでも家族だけは守る…と決意を新たにする彼女。
高校の合唱部に所属していた彼女、受験を前に引退も迫っていたが、最後のコンクールは中止となってしまう。
野外のお祭り広場が最後の発表の場となった。
彼女たちは力いっぱい歌う。
いろんな思いを込めて…それぞれの思いを何とか伝えようと、メッセージを歌に託して…。
映画に登場する人物は多くはない。
しかし、一人一人がいろんなところでつながっている。
家族・兄弟姉妹・親族・親類…そして友人たち…。
多くの命が失われ、そして一方では生き延びることができた人たちがいる。
主人公の少女は語る…
「当たり前の日常が当たり前じゃなかったんだ…」
ありふれた日常が一瞬にして別世界のものになるという経験…。
そして、彼女は語る…
「(生き残った)私たちはある意味『選ばれた』人たち…」。
失われた命の分までも生きていかなければいけないという現実…。
しかし、生きているからこそ希望や勇気を持つこともできる。
生きて生かされている…それは見えない力が働いているということもあるかも知れないけれど、今、同じ時代に生きている多くの人々に支えられているという現実にも関わっている。
絆、人と人とのつながり…。
個人の権利や主張ばかりが横行するだけで、人が人として持っている大切なものが見過ごされてしまいやすい時代…それが現在。
特に大きな街に暮らしていれば、個人は集団の中に埋もれ、お互いに干渉しあうこともなく、ともすれば人としてではなく、物と同じように扱われ、無視されるだけの存在にもなりかねない。
バブルという時代を経て、人々の価値観は変わってしまったのだろうか?
東日本大震災をひとつのきっかけにして、今、我々はリアルにつながっていかなければならない存在であるということを感じている。
この映画があらためてそのことに気づかせてくれたように思う。
どれだけ情報技術が進んだとしても、顔を合わせて目を見つめながら対話するというのは一番大切なこと。
メールよりは電話、電話よりは直接会って話すこと。
ハイテク技術の進化によって、今ある人間関係が希薄なものにもなりかねないような危惧感を持っているのは恐らく私だけではあるまい。
榛葉さんは誰に対してもいつも穏やかなスマイルを浮かべ、人間味あふれる言葉で静かにそっと語りかけられる。
この作品も、その隅々まで榛葉さんの人柄そのものがにじみ出ているような気がするのだが…。
物事を冷静に見つめながらも、我々が考えなければならない課題が随所に提示されているのだろう。
人が人らしくあるために何を考え、どう行動に移していくべきなのか…
東日本大震災はそういったことを考えるべきひとつのきっかけだったのだろう。
映画「うたごころ」の会場で購入したシネマブックに監督の榛葉さんからサインをもらうランニング仲間の宵さん。今という時代に生きて生かされている私たちは、時々そういった大切なことも見失ってしまいがち…。
想像力の欠如がいろんな問題を引き起こす。
想像力を少し働かせるだけで、人はもっと感性豊かに生きていけるはず。
情報ばかりが先走って、リアルなコミュニケーションがなくなりつつある今、人の心を動かす歌を歌うかのように、私たちは対話を持つべきなのかも知れない。
今、生きているのは誰かに必要とされるため…。
どんな自分であっても誰かのためにできることがあるということ。
どんな方法でも構わないから自分らしいスタイルで、たとえ小さなことであっても、できることを続けていくべきなのだろう。
映画は最後に「未来へ」というキャプションで締めくくられる。
現在進行形ということでまだまだ物語は現実世界で続いていくわけだ。
「うたごころ」の「未来」を楽しみにしよう。
今週末、TOMOSU RUNで再び東北地方を訪ねる。
復興支援は終わらない…今も続いているのだということを、被災しなかった人たちに伝えながらも、今できることを続けていこうと思う。
榛葉さん、素晴らしい作品をありがとうございました。
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テーマ:東日本大震災支援活動 - ジャンル:福祉・ボランティア
- 2012/11/18(日) 23:59:59|
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