FC2ブログ

KAY'S BLOG

独行道~Lonesome Road of Running

孤独のステイト・ハイウェイ:コロラド州道10号線〜その2

孤独のステイト・ハイウェイ:コロラド州道10号線〜その2】

hwy10c

(その1はこちら


*コロラド州ウォルセンバーグ〜ラ・フンタ 2011年7月


午前4時半目覚める。

だだっ広い平原で迎えた朝、突風でフライシートがバタバタ煽られほとんど眠れなかった。

昨日テントを張った時点でテント内の気温は41度…もはやサウナ風呂状態。

パンツ一枚で、濡れタオルを棟とお腹に当てながら寝ていたが、どうにもならない。


9時前に日が沈んで少しずつ気温は下がっていったが、明らかにテントの外の方が涼しい。

寝る前にトイレを済ませようとテントの外に出て、見上げた空は月と星がとてもきれいだった。



朝食片付けとスピーディに済ませ、日の出前の5時半スタート。

ゆっくり走り出し、ハイウェイで日の出を拝む。

今日も60キロ。

標高は1200mまで下がる。当然気温も上がることを覚悟しておかねばならない。


spiders_web


ハイウェイの脇で早めの昼食をとったあと、椅子に座ったまま居眠り。

ヘンな夢を見た。

朝、スタートして延々と一日中砂漠の平原を走って、たどり着いたのは朝スタートした場所。

これが延々と繰り返される悪夢…。



その夢を見ている途中で「おーい!(Hey!)」という声が聞こえて目が覚めた。

そこには、自分と同じようにバギーを押して旅をしている若者が立っていた。


nate1 


彼の名はネイト。メイン州デラウェアから西海岸を目指して歩き旅をしているという。

写真ではシャツを着ているが、出会った瞬間、上半身は裸で、頭には星条旗のバンダナを鉢巻にしていた。

1日30~40キロを歩くという。

よもや同じ時期に同じようなスタイルで旅をしている仲間に出くわすとは…。

お互い驚くばかりで、他人とは思えないくらい親近感が溢れてくるばかり。

話すことはきっと山ほどあったのだけれど、酷暑の中屋根もないところでそんなに延々と話してはいられない。

彼もこのコロラド州道10号線はひとつのチャレンジだと言っていた。

東から来ると後半にタフでハードなエリアがいくつも用意されている。ロッキー山脈や砂漠を控えたこれからが正念場だ。

15分くらいあれこれ話をして写真を撮って、お互いの旅の無事を祈って別れた。


nate2


ラスト10マイルが異常に長く感じられた。

ハイウェイにはマイレージ(里程標)が立っていて、ハイウェイからの起点の距離が表示される。

あと6マイル(9.6キロ)辺りで意識が遠のき始める。


shade


ありがたいことに木陰があればそこは楽園。

木陰がなければ、テントに泊まった時にフロアに敷くアルミシートを頭の上にかぶせて人工の日陰を作る。



この時期の平原の旅は、暑さと渇きと疲労との共存…闘っても勝てる相手ではない。

モハヴェ砂漠のアンヴォイでの一日を思い出した。

フラフラになりながらそれでも気力を振り絞って前進…。


hay1 


街に入る最後の坂を登って、それでもまだ町は見えない。

コロラド州道10号線が終わってUS50号線に入っても終わりが見えない。


hay2 


最後数キロはもう走れず。たらたら歩きながらようやく店が…。

ついにラ・フンタの町に着いたのだ。


コンビニに飛び込んで、マウンテンデューをセルフサーヴで買ってガブ飲みする。

冷たいドリンクが二日ぶりに飲めた幸せに胃袋も歓喜…。 ああ、冷蔵庫を持ち運びできれば…という思いが募る。



店員の兄さんにモーテルの場所を訪ねたら数ブロック先ということだ。

セイフウェイも近くにあった。ラ・フンタは結構大きな街なのだ。



銀行の壁にあった気温を示す電光掲示板では102度(約39度)。

足元から暑さがじわじわっと全身に伝わってくる。 これは明らかに、鉄板の上で焼かれているお好み焼きが感じる暑さ。

日本の夏の暑さは、蒸籠(せいろ)の中の肉まんやシュウマイが感じる暑さ…空気全体が湿っていて暑く、肌にまとわりつく暑さだ。




暑さでダウン寸前…。足元はフラフラ。

集中力がしばしば途切れがちになる。 頭が熱されて、暑さを感じる中枢が麻痺すれば死にもつながる。

ボトルの水を後頭部にぶっかけて少しでも頭を冷やす。首の後部分に体温を調整するツボがあるという。



4時過ぎにやっとモーテルへチェックイン。

やっとこさ文明的な生活に戻ってこれた。真夏の平原のキャンプを楽しむには強靭な肉体と精神が必要だ。

宿泊料をトラヴェラーズチェックで支払ってもいいかと訪ねたら、オウナーのおじさんが怪訝そうな顔をした。


とりあえずパスポートをチェックしてコピーを取り、最後にもう一度パスポートの写真と僕自身の顔をじろじろ見比べて何とかオッケー。

こちらは既にクタクタ、部屋のキーをもらうまで20分くらいかかった。


部屋に入って、すぐさまセイフウェイへ食料の買出しに。 いくら疲れていても今夜のディナーと明日の食料は買っておく必要がある。




冷房の効いたセイフウェイが楽園に思えた。 40度近くの外気にさらされながら10時間近く走ってきた僕には嘘のような世界だ。



2日分の汗をシャワーで流した。髪の毛は汗の塩気で完全にパリパリ。汗をたっぷり吸った衣類も手洗いで洗濯。

 

24オンス(680ml)のバドワイザー二本でエナジーチャージ。

ようやく生き返った心地…。

どれだけ水分を摂ってもすべて汗で流れていく。口から入ったビールがそのまま汗腺を通って出ていくかのようだ。


その日一日を無事に終えられることが日々の最大の歓び。明日、また心身ともにリフレッシュした気持ちでスタートしなくてはならない。


40度前後の熱波の中、2日連続で60キロ、計120キロを走った。

普通の人間ならこんなことはしないだろうけれど、大陸を横断する人間にはこういう経験も必要。

命懸けで走っても命を失ってしまってはどうにもならない。

一人旅では、ありとあらゆるリスクは自分で負わなければならないけれど、それゆえに安全と健康は最優先されるべき。

自分自身の心と体がきちんと対話できることが求められる。心と体のバランスが崩れた時にトラブルやハプニングは起きるもの。

それが、6月にヘルペスを患ってしばし走れなくなった時に学んだことだ。

この2日間はアメリカ横断ランニングの旅の行程中、最もタフでハードな記憶のひとつになった。




*グーグルマップで見た二日間のルート

co10map.png 



*走ることで被災地復興支援…RUN×10(ランバイテン)運動

29134069_1852460744765355_7348865673986048000_n.jpg 

ランナーにも走ることでできる被災地への復興支援、それがRUN×10(ランバイテン)運動

RUN×10(ランバイテン)運動 tweetviteページ

RUN×10(ランバイテン)運動フェイスブックページ

RUN×10(ランバイテン)運動 JogNoteページ

スポンサーサイト

テーマ:より良く生きる! - ジャンル:ライフ

  1. 2018/07/19(木) 23:12:19|
  2. PEACE RUN2011アメリカ横断ランニングの旅
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

FC2カウンター

プロフィール

KAY(高繁勝彦)

Author:KAY(高繁勝彦)
走る旅人:アドヴェンチャー・ランナー、サイクリスト(JACC=日本アドベンチャーサイクリストクラブ評議員)、ALTRA JAPANアンバサダー、 旅人、詩人・アーティスト、クリエイター、ナチュラリスト…。元高校教師(英語)。

大阪府松原市生まれで、現在、大阪府富田林市に在住。妻はミュージシャンでかつてぴよぴよ名義で「らんま1/2」エンディングテーマ「虹と太陽の丘」を歌っていた。

楽天ブログ時代(2006.4.2)からノンストップブログ更新中。公式サイト 「PEACE RUN 世界五大陸4万キロランニングの旅」“KAY’S WORLD”もよろしくお願いします。 プロフィール詳細はこちら

二度の日本縦断(「PEACE RUN 2010日本縦断3,443kmランニングの旅「PEACE RUN2012 日本縦断ランニングの旅 PART2」で実質の日本一周ランニング6,925kmの旅を完結。

2011年はPEACE RUN 2011アメリカ横断5,285kmランニングの旅を138日で完了。 2013年9月から163日で「PEACE RUN2013オーストラリア横断ランニングの旅」5,205kmを走破。

2014年11月から2015年2月、83日でPEACE RUN2014ニュージーランド縦断ランニングの旅2,796.6kmを走破。 2016年7月〜11月、110日間で7カ国3,358.8キロ、「PEACE RUN2016ヨーロッパランニングの旅」を走破。

2017年9月〜10月、「PEACE RUN2017四国一周ランニングの旅」1000キロ走破。2018年5月「九州一周ランニングの旅」で約900キロ走破。 

2011年3月14日、東日本大震災の3日後、「RUN×10(ラン・バイ・テン)運動」を発案・提唱、全国に展開させる。

2012年末、facebook上の公開グループ、平和的環境美化集団"THE SWEEPERS"を発足、活動を展開中。

2013年、一本歯下駄で世界平和をめざすfacebook上の公開グループ「一本歯下駄クラブ」を発足、活動を展開中。 講演・セミナー・取材などの問い合わせ・依頼は下のメールフォームでお願いします。

メールフォーム

ご意見・ご感想お待ちしております。

名前:
メール:
件名:
本文:

最新記事

PEACE RUN世界五大陸4万キロランニングの旅

無料メルマガ「週刊PEACE RUN」

高繁勝彦 on facebook

高繁勝彦 on TWITTER

"THE SWEEPERS"

地球にいいことしませんか?

One-Tooth Geta Club

カレンダー

06 | 2018/07 | 08
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

カテゴリー

amazon.co.jp

楽天市場

PEACE RUN公式スポンサー

finetrack

Thule

エイチ・エス・アシスト株式会社

エイチ・エス・アシスト株式会社

ALTRA

ALTRA

KLYMIT

Fun・Running関西

FunRunning関西

辻子谷龍泉堂株式会社

ARUCUTO

The Social Tea House

The Social Tea House

Tyrell

ジョイフルログ

CACAZAN

CACAZAN

Gofield

Gofield

久光製薬

久光製薬

アシスト設計

株式会社アシスト設計

昭文社

昭文社

MEROS

MEROS

アンプラージュインターナショナル

アンプラージュインターナショナル

Progear Vision

Progear Vision

オートサイクルベンリー

才能はかり売りマーケットごろっぴあ

うちのダンナは冒険家

励まし屋

内田あや 青い空blog

JOBBB RADIOボラボラ大冒険

PEACE RUNプロモーションビデオ

PEACE RUNテーマソング "Go The Distance"

励まし屋"Go The Distance"

PEACE RUNテーマソング “Go The Distance”収録

PEACE RUNテーマソング“Go The Distance”CD絶賛発売中!!

PEACE RUN SUPPORT SONG "MY GOAL" PV

内田あや“My Goal”

PEACE RUNサポートソング “My Goal”収録

内田あや Long Road ~J country ver.~

濱守栄子【国道45号線】MV

RUN×10(ラン・バイ・テン)運動

runx10_logo

JACC 日本アドベンチャー・サイクリストクラブ

シール・エミコ支援基金

旅RUN×(kakeru)

旅RUN×

ベビラン(BABY RUN)

月別アーカイブ

QRコード

QR

ブログ内検索

RSSフィード