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KAY'S BLOG

独行道~Lonesome Road of Running

森の生活〜ウォールデン

【森の生活〜ウォールデン】

6016.jpg  

I went to the woods because I wished to live deliberately,

to front only the essential facts of life,

and see if I could not learn what it had to teach,

and not, when I came to die, discover that I had not lived.

I did not wish to live what was not life,

living is so dear;

nor did I wish to practice resignation,

unless it was quite necessary.



“WALDEN, OR LIFE IN THE WOODS” by Henry David Thoreau (1854)





私が森に引きこもったのは

思慮深く生きたかったから

生きていくのにきわめて重要な事実から目を背けないように

生きることから教えられるものはないかどうかを模索するために

自分が死ぬ段になって

生きていなかったというようなことを悟りたくなかったから

私は人生と呼べないような人生を送るつもりは毛頭なかった

どうしようもない状況にならない限り

生きることにこだわり続けたかったから

生きることはそれだけ大切なことなのだ





---H.D.ソーロー「森の生活」より  *翻訳:高繁勝彦



*****




ソーローが教えてくれること…


思慮深く生きること

生きることから学ぶこと

生きるのに必要な事実から目を背けないこと

生きることを心から堪能すること




じっくり考えれば分かることがある。

失敗でさえも成功に変えられる叡智を人は持っているはず。

生きるのに必要なものにはしっかり目を向けよう。

生きていくのに必要でないものは人生から排除しよう。



欲望よりも理性の力をうまく生かすこと。

そんな中で自分自身の生き方を見いだして、とことんそれを楽しむこと。

そこで感性は磨かれ、自分だけの生き方が生まれてくるというもの。



驚くべきことに、ソーローは19世紀半ばにして既に断捨離の概念を実践していたのだ。

周りからいくら「変わり者」扱いされようと、彼は自分の生き方にとことんこだわった。

俗世間から離れてみて、初めて真の自分自身を知るようになったのだろうか。

シンプルでピュアな生き方を求めるがために、旅に出るのもきっと同じ原理なのかも知れない。


748px-Walden_Pond.jpg 



独身時代の、自分にとってささやかながら最大の贅沢といえば、ひとり旅だった。

ふと思い立って最小限の生活道具をバックパックに詰め込んで近くの山へ出かける。

テントの中で、インスタントラーメンを食べた後、

シェラカップに注いだアールグレイティをすすりながら、

ランタンのほのかな灯りの下で読む一冊の文庫本、それが誰のどんな本であれ、

渇いた自分の知的欲求を満たすには欠かせないものになる。



テントというひとつの空間は僕にいろんな夢を見せてくれる。

鳥の歌声で目覚めると、朝露の水滴が陽の光を受けてテントの屋根でキラキラ光っている。

寝袋の中で、僕は果てしなく自由なのだと感じずにはいられなくなるだろうし、

憂うつな雨の日には、冒険の夢を思い描きながらさまざまな思索にふけってみたりする。

そんなテントの中で幾度も繰り返し読んだ一冊、

今や、アメリカ文学の古典であり、エコロジストたちのバイブルとも言われている、

それがH.D.ソーロー(1817-1862)の『森の生活』だ。



ソーローはハーヴァード大学卒業後、約10年間教師生活を送るが、

生徒たちに体罰を加えることに反対し、学校側と意見が合わず対立、そして辞職。

その後短期間の肉体労働や執筆活動で生計を立てながら読書と思索にふける日々を送る。

1845年、28歳の時に、街から離れたウォールデン池のほとりに小屋を建て、

2年と2ヶ月をそこで暮らすことになる。「森の生活」はその時の生活体験報告でもある。

金儲けにはたいした興味を示さず、自給自足に徹し、肉食をせず、

もちろん飲酒喫煙もしなかったが、恋愛さえすることもない。

彼は、自分を束縛する全てのものから自分自身を解放しようとしていたのだ。

そんな質素な生活の中で自然を心ゆくままに堪能し、

人生の意義をひたすら追究しつづけた彼のライフスタイルに、

僕は強く惹かれるものを感じてしまう。



現代人はとかく時間にとらわれがちで、

人間自らが便宜上創りだした1日24時間というシステムに

縛られるようにして毎日を過ごしている。

ある日僕は、ソーローが体験したように、

時間にとらわれることのない暮らしを送ろうと旅に出た。

アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドを銀輪で駆けつづけ、

生活から一切の不必要なものを排除するよう努めた。

その3年あまりの年月は、腹が減れば食べ、眠くなれば眠る、

そんな風にシンプルではあるが、

人生において本当に必要なものを探求していた自分にとっては充実した毎日だった。

ただ本能のままに生きるのではなく、そこに思慮深さがプラスされることで、

人生はいくらでも味わい深いものになるということを、僕は学んだのだった。



俗世間から閉ざされていてもそこには素晴らしい発見があり、出会いの歓びがある。

人間というこのちっぽけな存在もまた自然を構成する一要素にすぎないと悟った時に、

人は生きることの精髄を味わうことができるのだろう。

自然に根ざした暮らしを続けていく内に、

自分自身が自然の中に含まれるということにきっと快感を覚えるようになるはず。



今、再び、冒頭のソーローの一節を口ずさみながら、

完璧なまでの自由人を目指したソーロー自身の魂の声に耳を傾けてみたい。

   

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テーマ:オススメの本の紹介 - ジャンル:本・雑誌

  1. 2020/05/09(土) 05:39:33|
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プロフィール

KAY(高繁勝彦)

Author:KAY(高繁勝彦)
走る旅人:アドヴェンチャー・ランナー、サイクリスト(JACC=日本アドベンチャーサイクリストクラブ評議員)、ALTRA JAPANアンバサダー、 YAMANOVAコーヒーアンバサダー、ARUCUTO一本歯下駄アンバサダー、旅人、詩人・アーティスト、クリエイター、ナチュラリスト…。元高校教師(英語)。  
大阪府松原市生まれで、現在、大阪府富田林市に在住。妻はミュージシャンでかつてぴよぴよ名義で「らんま1/2」エンディングテーマ「虹と太陽の丘」を歌っていた。

楽天ブログ時代(2006.4.2)からノンストップブログ更新中。公式サイト 「PEACE RUN 世界五大陸4万キロランニングの旅」“KAY’S WORLD”もよろしくお願いします。 プロフィール詳細はこちら。 

二度の日本縦断(「PEACE RUN 2010日本縦断ランニングの旅(3,443km)「PEACE RUN2012 日本縦断ランニングの旅 PART2(3,482.3km)」で実質の日本一周ランニング6,925kmの旅を完結。 

2011年はPEACE RUN 2011アメリカ横断5,285kmランニングの旅を138日で完了。 2013年9月から163日で「PEACE RUN2013オーストラリア横断ランニングの旅」5,205kmを走破。 

2014年11月から2015年2月、83日でPEACE RUN2014ニュージーランド縦断ランニングの旅2,796.6kmを走破。 2016年7月〜11月、110日間で7カ国3,358.8キロ、「PEACE RUN2016ヨーロッパランニングの旅」を走破。 

2017年9月〜10月、「PEACE RUN2017四国一周ランニングの旅」1000キロ走破。2018年5月「九州一周ランニングの旅」で約900キロ走破。 

2011年3月14日、東日本大震災の3日後、「RUN×10(ラン・バイ・テン)運動」を発案・提唱、全国に展開させる。 

2012年末、facebook上の公開グループ、平和的環境美化集団"THE SWEEPERS"を発足、活動を展開中。 

2014年、一本歯下駄で世界平和をめざすfacebook上の公開グループ「一本歯下駄クラブ」を発足、活動を展開中。 講演・セミナー・取材などの問い合わせ・依頼は下のメールフォームでお願いします。

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