【カンペーちゃん】
間寛平氏と最初に会ったのは、1988年のホノルルマラソンだったか。
自分自身が小学校低学年の頃から吉本新喜劇に出ていて、当時は木村進と漫才のコンビを組んでいた。吉本興業の走るお笑い芸人第一号だった。
自分にとっては二度目のホノルル。
芸能人の参加はそんなに多くはなかったけれど、その前年には郷ひろみが走って話題になっていた。
スタート前、彼がウォーミングアップしている場面に出くわした。
いつになくシリアスな顔をされていたが声をかけてみた。
「こんにちは。寛平さん。何時間くらいで走られますか?」
「あ、あー、そうねぇ3時間台やったらまずまずですわ。ま、調子がようて3時間半から50分くらいまで…」
「天気予報だと気温がけっこう上がるらしいです…。頑張って下さい!」
「あ、おおきに。にぃさんも頑張って」他愛もないそういった会話を交わしたのを覚えている。
そしてレース後、彼の周りにファンが集まってきて、
「カンペイちゃ~ん、アヘアヘアヘやって~」という声が聞こえてくると、陽気にそのリクエストに笑顔で応える彼。
彼は当時まだ39歳で、その年、吉本新喜劇を退団して東京進出を果たしている。テレビのドラマやバラエティショー、クイズ番組などにも出始めて知名度もぐっと高くなっていった時期だ。
その2年後、1990年の春、彼が大阪から東京までの560キロを走破したと言うニュースを知る。
自分も、その夏、
東海道行脚の旅を企画。京都三条大橋から東京日本橋までの520キロを11日かけて走った。大阪で花の万博があった年、猛烈な暑さの中、二度ほど熱中症になりかけた。間氏にはサポートクルーがついていたが、自分は背中に荷物をしょっての単独行。走り終わってしばらくは体調がすぐれなかった。
その後の彼のランニングライフは、24時間テレビをはじめスパルタスロン、サハラマラソン、アドヴェンチャーレースと数知れない。
昨年スタートした
EARTH MARATHONが先日再開されたという。今日で554日目。現在トルクメニスタンを通過中。気温が50度を超える、想像を絶する過酷な気象条件の中を淡々と走っている姿が動画に映っていた。
前立腺がんの治療のため
アースマラソンも数ヶ月中断。
その治療が一通り終わって、本当に走っても大丈夫なのかと思わされたが、彼は走れる限りは走る人なのだ。ゴールの日本まで、這ってでも前進していくことだろう。
壮絶な環境の中でも淡々と走る寛平さんの姿に心打たれるものがある。信じがたいことに、もうすぐ彼は61歳になる。
彼はお笑い芸人なのだが、今の彼は、人を笑わせるよりも、自分のやっていることで自分を大笑いしてしまおうという心境なのではあるまいか。タフでハードな人生をあえて設定し、体を張って、命を賭けて
、「アースマラソン」というシリアスさを超えたものの中に、彼が求めている真のお笑い芸人の姿があるに違いない。これこそまさに、究極の自虐ネタなのだ。
一方、こちらは
「PEACE RUN 2010 日本縦断」という個人イベント。スポンサーもなく、サポートクルーも特には設けていない(当たり前か)。
寛平氏の足元にも及ばないが、同じ地球を走るというアクションを通じて、自分自身にも、この世界にも、何かを伝えることができると信じて、全力前進するまでだ。
一本の道と二本の足があれば、必ず人は進んで行けるはずだから。
今、聴いているBGMは、我ら旅するランナーのために作られた歌…ボブ・シーガーの「アゲンスト・ザ・ウインド」。
映画「フォレスト・ガンプ」の中でも主人公フォレストがアメリカの大自然の中を走る場面のバックに流れていた曲…。
Bob Seger Against the wind
公式BLOG > 間寛平 アースマラソン kanpeitter(間寛平氏のtwitter)
(Illustration "Against the Wind" by kay)
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Go the Distance!【Against the Wind】
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テーマ:ひとりごとのようなもの - ジャンル:日記
- 2010/06/23(水) 15:45:35|
- 回想
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| コメント:6
こんばんは。
この前もコメントに書きましたがとにかく嫌な事件が多すぎます。しかも、毎日の様に。
KAY.Tさんのブログを拝見してると私も自転車以外にRUNやウォーキングを始めようかなと思ってきました(その時はアドバイスお願いします)
ピースランのサポートクル―は沿道で出会う人々だと思います。
機会があれば差し入れを届けます・・・かな?
近くを走られる時に連絡を(笑い)
- URL |
- 2010/06/23(水) 20:56:51 |
- genさん #-
- [ 編集 ]
寛平さんはすごいですね。
色々な人に勇気を与え、ついに癌患者にまで勇気と希望を与えました。
会社にも癌治療(放射線)を受けた人がいて、癌は今の所、無くなりましたが、体力が著しく低下し、そのせいで気力も低下していました。
そんな折に、寛平さんの癌治療~アースマラソン再開までの経過を見、尊敬の念と、勇気、希望を貰ったみたいです。
絶対にゴールしてほしいですね。
- URL |
- 2010/06/23(水) 22:16:32 |
- Y.ANCHIN #-
- [ 編集 ]
genさん:
こんにちは。
> この前もコメントに書きましたがとにかく嫌な事件が多すぎます。しかも、毎日の様に。
本当ですね。昨日も、秋葉原の集団殺傷事件を真似た事件が広島のマツダでも起きていました。
何を一体考えているのか…と思わされてしまいます。
世界平和には、一人ひとりの心の平穏がまず必要ですね。
> KAY.Tさんのブログを拝見してると私も自転車以外にRUNやウォーキングを始めようかなと思ってきました(その時はアドバイスお願いします)
基本的には…体を動かすことですね。そのためのツールとして何を使うか…あるいはどんな環境で楽しむか…。
自分の場合は自転車(ロードバイク)から始まりました。それから山歩き…そしてマウンテンバイク…自転車でのツーリング&キャンピング…マラソン…ウルトラマラソン…トライアスロン…トレイルラン…。
これ以外にもローラーブレードや冬にはスノーシュー、クロスカントリースキーもやってました。
道具が部屋のそこかしこにあふれかえってて今大変なことになっています。
> ピースランのサポートクル―は沿道で出会う人々だと思います。
> 機会があれば差し入れを届けます・・・かな?
> 近くを走られる時に連絡を(笑い)
genさんは滋賀県在住でしたか?
ゴールデンウィークに天五さんと訪ねた福井県小浜市のふじや旅館で途中停泊します。
数日、休養するつもりでおります。
- URL |
- 2010/06/24(木) 10:02:30 |
- KAY.T #-
- [ 編集 ]
anchinさん:
> 寛平さんはすごいですね。
> 色々な人に勇気を与え、ついに癌患者にまで勇気と希望を与えました。
現在故障中のanchinさんにぜひ読んでもらいたい本は、ランス・アームストロング氏の「ただマイヨジョーヌのためでなく」。
彼はアメリカの自転車競技者ですが、ガンを克服したばかりか、ツールドフランスで7連覇するという奇跡的な偉業を成し遂げた鉄人です。
ガンが人の心のどんな影響を及ぼすのか、そしてその病気と同向き合っていくのか…。
ある意味哲学が必要なんでしょう。生き方指南の書とでもいうべきか…。
> 会社にも癌治療(放射線)を受けた人がいて、癌は今の所、無くなりましたが、体力が著しく低下し、そのせいで気力も低下していました。
> そんな折に、寛平さんの癌治療~アースマラソン再開までの経過を見、尊敬の念と、勇気、希望を貰ったみたいです。
> 絶対にゴールしてほしいですね。
たくさんの人の心に触れるひとりの人間の走り・そして生き方…。
走ることで人に伝えられる何かがきっとあるはずですね。
- URL |
- 2010/06/24(木) 10:07:06 |
- KAY.T #-
- [ 編集 ]
おはようございます。
大阪の日本橋です。 ふじや旅館ですか、偶然私もあの日小浜に行っていました。天五さんのコースを参考に。数時間違いのニアミスでしたね。
朽木屋で焼き鯖を食べた後風音に行きふじや旅館を見学(笑い)し、大阪に帰りました。
KAY.Tさんが滞在してる日と私の休みが合えばなんとか微力ながら応援に行きます。
連休だったら100%いけるんですが(笑)
- URL |
- 2010/06/25(金) 05:26:00 |
- genさん #-
- [ 編集 ]
genさん:
そうでしたね。
自分たちのびわ湖ツーリングの間に、genさんからのコメントがあったのを思い出しました。
日本橋といえば大阪の秋葉原、電化製品の街。家具屋さんも多いんですね。
小浜まで一ヵ月半くらいかかるでしょうか、8月終わりかな…何ともいえないですが…。
ぜひまたお会いしたいですね。
自転車で駆けつけてもらえたらうれしい限りです。
自分のこれからの予定に確実なものって言うのはほとんどありません。すべていきあたりばったりで出たとこ勝負です(笑)。
- URL |
- 2010/06/25(金) 10:01:59 |
- KAY.T #-
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