【冒険家の聖地を訪ねる:久美浜~豊岡市日高町】
4時過ぎに目覚めた。北海道の夏ならもうこの時間には明るいのだろうけど、こちらはまだ真っ暗。幸い、今まだ雨は降っていない。シャワーを浴びて朝食。今日は冒険家の聖地へ。日高町の植村直巳冒険館を訪ねる。

午前6時過ぎ、スタート。雨がぱらついてきた。

えんたりんぐ兵庫県!

円山川と国道312号線。豊岡から南下しています。

ふと偶然通りすがりに気づいた、冒険家植村直巳氏が学んだ小学校。

振り返りざまにニッコリ微笑んでいたのも…植村さん、ですね。

植村直己ふるさと公園。

頼光寺の裏の小高い丘のてっぺん に植村さんのお墓はあった。まだその体はマッキンリー山中に、亡くなった時と同じ状態で保存されているに違いない。

お墓の前で膝まづき、合掌して冒険家の冥福を祈った。「生きて帰るまでが冒険…」彼が確かそんなことを著書に書いていた。墓碑の横に 、エドモンド・ヒラリー卿のメッセージもあった。

江原駅。とんでもないコースアウトをするところだった。出石方面に向かっていたようで、約3キロ戻る羽目に…。ふるさと公園も訪ねる予定じゃなかった。きっと天国の植村さんが導いてくれたのだろう。

ついに来ました。植村直己冒険館!

冒険館に入って、まず植村さんのドキュメンタリー映画を見せていただいた。冒険家としてはもちろん、一人の人間としての植村さんの素晴らしさを改めて知らされる。

「厳しいことをやらないと満足しないんだろうな」と植村さんが映画の中で語っていた。常にそんな気持ちが向上心となって、次のチャレンジにつながるものなんだ。

冒険館をこれまで訪ねたチャレンジャーたちのパネル。冒険館のS谷さんの方から、来年東京で冒険家フォーラムを 開催するというお話を聞く。もっともっとたくさんの冒険家が世界にはばたくきっかけを作るなんて素晴らしい考えだ!

今年6月に植村直己冒険賞を受賞した中西大輔さんの特別展も行われていた。11年間、130ヶ国、15万1849キロ。想像を絶する旅を経験されてきたのだ。

冒険家も旅人も、常に夢を追い続ける。飽くなきチャレンジは、夢があるからこそできること。そして、最後まで諦めない生き方が、夢を叶える原動力になるのだ。

1004番目の、植村さんの遺志を受け継ぐ一人になりました。

「やさしく、つよく」は旅人や冒険家だけの生き方じゃない。最も人間らしく生きるために必要な要素だと思う。

冒険館のS谷さんのご厚意で、今夜は記念館の敷地内でキャンプをさせてもらうことになった。冒険家の聖地で一夜を過ごせるなんて感激である。

午後の時間をフルに使って冒険館を隅々まで見学。職員のS谷さんとO本さんの歓待を受けて、充実した半日を過ごせた。植村さんのドキュメンタリー番組のDVDを何度も見て、目頭が熱くなる。彼がもし今生きていたら、どんな冒険を続けていただろうか?

今夜のお宿…冒険館の裏が臨時キャンプ場となりました。
今日半日冒険館で過ごしてみて、自分はまだまだ甘いと感じさせられた。この程度で冒険家を語るにはちっぽけすぎるのだ。

たかが日本列島を走って縦断したくらいでえらそうな面をしていては恥ずかしい。

世の中には、リヤカーで世界を歩き回った人もいる。シルクロードをランニングで旅した人もいる。想像を絶するような旅をした人は、数え切れないくらいいるのだ。

ただ、植村さんが語った言葉の中にあった、「夢の大きい小さいとか、実現できたかできなかったとかよりも、どれだけその夢の実現のために真剣に取り組めたか、その心のあり方が大切…」ということに救われる思いがした。

中西大輔さんが今年受賞された。飽くなきチャレンジの末に得られた努力の賜物…。最後まであきらめずにペダルを踏み続けた結果がもたらしたのだ。

自分は、単なる「走る旅人」。ただ、現状に満足はしない。常にハングリー精神を持って、謙虚な気持ちで、次なる冒険を考える。ゴールの向こうに、まだ何かがあると信じて…。冒険家とは、自分の生き方に対して、いつも真摯に考えつつ、試行錯誤を繰り返す人なのだ。
旅に出て、素のままの自分をさらけ出し、ありのままの自分で世の中の森羅万象と向き合い、さまざまな人と、本来の自分自身と向かい合う。これが正しい自分の生き方だと、胸を張って生きている。そこには、何のしがらみもない。
これほどまでに純粋な自分はない、自信を持ってそう言えるような生き方…。植村さんのお墓の前で、自然に心打たれて涙が止まらなかった…。生きている、いや生かされている自分そのものに感動したのだった。
植村さんが、自身の生き方を模索していたように、今の自分も、これからどうあるべきなのかをじっくり考える時間を与えられたように思う。焦る必要はない。時間はたっぷりあるのだから…。焦らず、慌てず、諦めず…。そのとおりだと思う。
風に吹かれて、風のように生きるのが理想だ。自由気まままに、あてもなく、つかみどころのない空気のような、そんな存在になればいい。そうすれば誰の所へも自由に行けるから…。
本日の走行距離:34キロ、宗谷岬からの累積走行距離:2042キロ。
スポンサーサイト
テーマ:国内旅行記 - ジャンル:旅行
- 2010/09/13(月) 20:54:07|
- 旅・冒険
-
| トラックバック:0
-
| コメント:13
こんばんは。
冒険の規模は人それぞれなんでしょうね。
自分からすれば、そういう生き方自体が冒険であり、真似できないことです。
一つ所に留まらず、いろいろな世界を自分の目で見て回る人みんなが素晴らしい冒険家だと思います。
- URL |
- 2010/09/13(月) 21:27:45 |
- Y.ANCHIN #-
- [ 編集 ]
お疲れ様です。
今日の日記を拝見してたら、私もなぜか涙がでてきました。 年のせいか涙腺が弱くなってきました。
植村さんの冒険館、是非、足を運ばなければ と、
心が動きました。
- URL |
- 2010/09/13(月) 22:12:35 |
- genさん #-
- [ 編集 ]
kayさん、今日もお疲れさまでした。
kayさんも素晴らしい冒険家です。
たった一人で行動し、多くの人に夢と希望と平和の意味を伝えております。
どうぞ、胸を張って遂行してください。平和を訴える日本縦断の旅を!
- URL |
- 2010/09/13(月) 23:11:14 |
- ドタバタ #-
- [ 編集 ]
「自分は、単なる「走る旅人」。ただ、現状に満足はしない。常にハングリー精神を持って、謙虚な気持ちで、次なる冒険を考える。ゴールの向こうに、まだ何かがあると信じて…。冒険家とは、自分の生き方に対して、いつも真摯に考えつつ、試行錯誤を繰り返す人なのだ。
旅に出て、素のままの自分をさらけ出し、ありのままの自分で世の中の森羅万象と向き合い、さまざまな人と、本来の自分自身と向かい合う。これが正しい自分の生き方だと、胸を張って生きている。そこには、何のしがらみもない。」
この言葉…、
胸を打たれました。
同じ時を過ごしたことのあるものとして、冒険家kaytakaさんの姿が目に浮かぶ…。
(気持ち悪い言い方かもしれませんが…)あなたと出会えたことは私の財産。色々なことを想い出します。
心から応援をしています。頑張って下さい!!
- URL |
- 2010/09/14(火) 11:58:47 |
- Hot Coffee #q7XswXQk
- [ 編集 ]
私は高校時代から植村さんを敬愛しております。
私のあちこちに行きたい気持ちの源泉は彼のやってきた偉業の数々です。
話し方は下手でしたが一生懸命語り伝えようとする講演会に行けた高校2年の時の記憶は大きな財産です。
あの笑顔と熱意は忘れられません。
ちょっと気持ちが落ちていた私に力をいただきありがとうございました。
- URL |
- 2010/09/14(火) 13:39:27 |
- budouyaichan #-
- [ 編集 ]
植村直己さんという冒険家に改めて触れられて、
kayさんもまた新たに冒険家としての思いを強く念じられたのですね。
冒険家の方々は時として「孤高の人」と感じられます。近寄りがたく、孤独をまるで人生の中心に据えているような...。
自分のように甘く生きている人間からすれば、孤高の冒険家の方は、絶対に真似できない生き方をされている憧憬の的です。
そして手の届かない領域を生きておられる、崇高な存在です。
自分は自分の生き方を精一杯まっとうする。
その一方で、孤高の冒険家が成し遂げようとする崇高なる思いを、心から応援できればと思います。
- URL |
- 2010/09/14(火) 18:14:21 |
- 美ら島☆ランナー #YD14tAto
- [ 編集 ]
anchinさん:
こんばんは。
自分なりに、頑張ることが冒険ならば、どんな規模でも、どんなレベルでも、やってみる価値はあるもの。
たとえ実現できなくてもいい。心を強くして、前に進んでいけたら…。
冒険というのはそんなたいそうなものでもないのだと思います。
- URL |
- 2010/09/14(火) 18:35:15 |
- KAY.T #-
- [ 編集 ]
budouyaichanさん:
気さくで、内気で、口下手だった植村さん。
でもその人柄の素晴らしさのおかげで、多くの信奉者を世界中に作りました。
旅が冒険に変わる瞬間がいつなのか分かりませんが、地道に前進を続ける中で出会いと発見を楽しめたらいいですね。
- URL |
- 2010/09/14(火) 18:38:08 |
- KAY.T #-
- [ 編集 ]
genさん:
こんばんは。 お疲れ様です。
自分がやっているのは単なる旅であって、冒険と呼ぶほどのものでもないように思えてきました。
でも旅であれ冒険であれ、楽しむ本人たちが幸せであれば言うことなしです。
- URL |
- 2010/09/14(火) 18:41:52 |
- KAY.T #-
- [ 編集 ]
ドタバタさん:
お疲れさまでした。
危険を平気で冒すことは自分にはなかなかできませんね。
命を懸けるところまでやれるなら…とは思ってみても、今の自分では生っちょろいという感じです。
平和のために走る、それがアクションとなって全国に広まればありがたいものですが…。
- URL |
- 2010/09/14(火) 18:45:55 |
- KAY.T #-
- [ 編集 ]
budouyaichanさん:
何か不思議な力が自分を日高町まで導いてくれたんですね。
彼の本を読む度、新しい冒険を常に夢見ていました。
チャレンジし続ける中にも喜びがあると信じて…。
- URL |
- 2010/09/14(火) 19:10:40 |
- KAY.T #-
- [ 編集 ]
HotCoffeeさん:
常に何かを追いかける気持ちで、謙虚に走り続けねば…と思わされました。
現実に飲み込まれず、いつも理想と夢をもって全力前進です!
- URL |
- 2010/09/14(火) 19:13:33 |
- KAY.T #-
- [ 編集 ]
美ら島☆ランナー:
冒険家も結局人の子。
何が凡人と違うのかといえば、常に負い続ける何かを持っているということでしょうか。
自分もまだまだ旅人の領域を抜け切れず、のんべんだらりと走っています。
ゴールを目指してひたむきに走る生き方を忘れず、さらに前へ、前へ進んでいきます。
- URL |
- 2010/09/14(火) 19:16:16 |
- KAY.T #-
- [ 編集 ]