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KAY'S BLOG

独行道~Lonesome Road of Running

映画「ノルウェイの森」を見る

【映画「ノルウェイの森」を見る】

*注意:村上春樹氏の「ノルウェイの森」の原作を読んだことがなくて、もし近日中に映画「ノルウェイの森」を見ようという方は、今日のブログは読まないで下さい。既に映画を見た方、原作を読んだことのある方は今日のブログを読んでいただいて問題ありません。

norwegian_wood



渋谷で映画「ノルウェイの森」を見てきた。

日本での公開初日が昨日で今日が2日目。日曜日なので立ち見が出るくらい混み合っているのでは…と思ったけど、実際行ってみたら空席だらけ。カップルが大半だったけど、男性一人という観客も結構いましたね。女性一人というのはなかなかいなかったけど、そういう若い女性がいたら、思わず声をかけたくなるかな…???


映画は…。

一番強く感じたのは、この映画の監督トラン・アン・ユン監督がベトナム人ということもあって、インターナショナルな視点はあったのかも知れないが、日本人の感覚とはまた違った原作のとらえ方がされていたように思う。

小説そのものは国籍に関係なく楽しめるものなんだろうけど、日本人のための物語であるとしたら、もっと登場人物それぞれの微妙な思いが表現されて、より繊細な恋愛物語に仕立て上げられてもよかったかも知れない。原作者村上春樹氏はいったいどう思っているのだろう?

ワタナベを演じる松山ケンイチはじめ若い役者たちは一生懸命に演じてた。菊池稟子も直子になり切ってた。緑役の水原希子も初々しくって70年代のギャルって感じでよかった。

ただ、原作のインプレッションがあまりにも強かったので、ビジュアル化してしまえばどこかでひずみも出てくるし、原作に忠実には映画化したように見えても、各人物の心の動きを表すには何か物足りないものが出てくる。それは当然のことなんだろうけど…。

これは原作とは切り離して見るべき映画なのか…。

原作ではもっとレイコさんの人柄や直子との関係が深く描かれていて、そのバックグランドがあったおかげで、この映画の最後でもワタナベとの関係が生きてくるはずなのに…。

ワタナベと緑の関係も、直子とワタナベの関係をうまく対比させて喪失と再生がバランスを保っている。

誰かにとって欠けてしまったものを補うべき存在がはっきり分かっているから、それなりに安心できるシチュエーションとなる。

ワタナベ自身自我が確立されていないから、直子の世界に引っ張られつつも、天真爛漫な緑というナビゲーターがワタナベをうまく救済するためにいい働きをしているのだ。

もうひとつ…。

原作の始まり…フランクフルト行きの飛行機の中でビートルズの「ノルウェイの森」が流れてくるところから原作は始まっている。

あの時点で、歳をとってしまったワタナベは一体どんな生活をしているのか…。

恐らく緑とも訳あって離れ離れになって、すべては過去で失われたものとして機内で回想に浸っているのではなかったか…。

あの飛行機の中の場面も実は重要なシチュエーションだと思うのだけれど…。

映画が単独のものとして見ればそれなりには楽しめる作品かも知れない。

すぐれた原作ゆえに、どんな映画にしても完璧なものはできっこない。

これは仮に村上春樹氏が監督をしたとしても同じ結果になっているだろう。

読み手が感じるままに感じ取れる小説のままであるのが一番なのだ。

村上氏がこれまでほとんど映画化というものを好まなかった理由がそこにあるのだと思う。



自分自身が好きなのはラストシーン…。

緑との電話で、緑が「ワタナベ君今どこにいるの?」と聞かれて、「今僕はどこにいるのだ…」とワタナベが自問自答する。

あの時点でもワタナベは、まだ自我に目覚めきれず、彷徨しつづけている。

自我を冷静に見つめることが怖くて、大人になりきれない、大人になることを拒み続けるピーターパンシンドローム(症候群)ゆえに、ワタナベは絶えず混乱し、緑と電話しているはずが、直子でも緑でもレイコさんでもない、誰でもない顔のない虚構の人物と対話しているワタナベが受話器を持ったまま映画が終ってしまう。

そして僕は途方に暮れる…。今までの自分は何だったのだ…と自我を否定する自身の脆さ…。



本当に純粋であろうとするのなら、何も求めなくてもいいのだ。

いろんなところでいろんな人間と特別な関係を築こうとするから話は複雑になる。

それでも人は人を求める。

ナガサワがいわば事務的に、かつ機械的に誰かと一夜をともにしたくなるように…。むなしさと引き換えに刹那の快楽を求めるのも然り。

ナガサワの恋人ハツミも、スワッピングをしたというナガサワの話しから、ワタナベに「なぜそんなことをするの」と問い詰める。ナガサワにとってはゲームでしかない。

ワタナベもできるならそんなことはしたくない。

本来は禁欲的に生きるべきはずのワタナベさえ欲望に流されてしまう。

恋愛とは欲望を満たすだけのものではないと思いたいが、もっと違った意味での恋愛は確かにあるのだろう。

お互いに欠けているものをお互いが補い合える関係…喪失と再生がそこにはあって欲しい。

若さゆえに肉体の快楽を補い合うだけの恋愛ではもはや物足りないと思える自分は、それなりに成長してきたのだろうか…。

あるいは十分に汚れ切ってきたからこそ、より純粋であろうと思えるようになったのだろうか…。

23年前に読んだ原作をまた読んでみたくなった。あの時感じられなかった何かを今は感じられそうだし。あの時感じた何かが、今はもう感じられないのかも知れないし…。

人の心も結局は流動的なもの。

「放っておいても人は死ぬし、人はセックスをする」

何かの小説で村上氏が語った言葉は言い得て妙であるが、紛れもない事実なのだ。




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テーマ:映画 - ジャンル:映画

  1. 2010/12/12(日) 21:41:35|
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プロフィール

KAY(高繁勝彦)

Author:KAY(高繁勝彦)
走る旅人:アドヴェンチャー・ランナー、サイクリスト(JACC=日本アドベンチャーサイクリストクラブ評議員)、ALTRA JAPANアンバサダー、 YAMANOVAコーヒーアンバサダー、ARUCUTO一本歯下駄アンバサダー、旅人、詩人・アーティスト、クリエイター、ナチュラリスト…。元高校教師(英語)。  
大阪府松原市生まれで、現在、大阪府富田林市に在住。妻はミュージシャンでかつてぴよぴよ名義で「らんま1/2」エンディングテーマ「虹と太陽の丘」を歌っていた。

楽天ブログ時代(2006.4.2)からノンストップブログ更新中。公式サイト 「PEACE RUN 世界五大陸4万キロランニングの旅」“KAY’S WORLD”もよろしくお願いします。 プロフィール詳細はこちら。 

二度の日本縦断(「PEACE RUN 2010日本縦断3,443kmランニングの旅「PEACE RUN2012 日本縦断ランニングの旅 PART2」で実質の日本一周ランニング6,925kmの旅を完結。 

2011年はPEACE RUN 2011アメリカ横断5,285kmランニングの旅を138日で完了。 2013年9月から163日で「PEACE RUN2013オーストラリア横断ランニングの旅」5,205kmを走破。 

2014年11月から2015年2月、83日でPEACE RUN2014ニュージーランド縦断ランニングの旅2,796.6kmを走破。 2016年7月〜11月、110日間で7カ国3,358.8キロ、「PEACE RUN2016ヨーロッパランニングの旅」を走破。 

2017年9月〜10月、「PEACE RUN2017四国一周ランニングの旅」1000キロ走破。2018年5月「九州一周ランニングの旅」で約900キロ走破。 

2019年夏にヨーロッパ続編となる「PEACE RUN 2019 ヨーロッパランニングの旅PART2」を予定している。

2011年3月14日、東日本大震災の3日後、「RUN×10(ラン・バイ・テン)運動」を発案・提唱、全国に展開させる。 

2012年末、facebook上の公開グループ、平和的環境美化集団"THE SWEEPERS"を発足、活動を展開中。 

2014年、一本歯下駄で世界平和をめざすfacebook上の公開グループ「一本歯下駄クラブ」を発足、活動を展開中。 講演・セミナー・取材などの問い合わせ・依頼は下のメールフォームでお願いします。

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