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独行道~Lonesome Road of Running

ランニング道~マラソン講座(30)~LSD~その2

【ランニング道~マラソン講座(30)~LSD~その2】


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LSD(Long,Slow,Distance=時間をかけて、ゆっくりと、長い距離を走ること)の魅力と効用についていくつかまとめてみたい。

学生時代に運動経験があって、何年かのブランクを経て走り始める人はたいてい速いペースで走っている。

自分もそうだった。

若い人は体力に任せて息が切れるくらいのスピードで走るかも知れない。

これでは長続きしない。



かつてNEC陸上部監督であった故・佐々木功氏はその著書「ゆっくり走れば速くなる」でも書かれていたが、当時のチームメンバーに「歩くより遅いスピードで走れ」と指示していた。

歩道を歩いている歩行者にも追い越されるくらいのスピードで走って監督にほめられたランナーもいたらしい。



日本マラソン界を牽引してきた浅井えり子を13年間育ててきた佐々木氏は「身体の末端の眠っている毛細血管を目覚めさせ、競技能力を向上させることが可能である」というL・S・D理論を提唱、浅井えり子が氏の遺志を受けて現在もこの理論をテーマにランニング教室や講演活動を行っているという。


毛細血管というのは「動脈と静脈をつなぐ細い血管…(中略) 直径5~10μmで、白血球、血漿等が血管細胞の隙間を通じて移動、ガス交換・栄養分・老廃物の運搬等を行う」ものだそうだが、手足の先端などにあって、ふだんは血液が十分に流れることなく、歳をとってくると冷え性になったりするのもこの毛細血管に十分血液が送られないことが原因と言われる。

厳冬期、手袋なしで走り始めると指先がかなり冷たいが、走り始めてじわじわと指先まで温かくなってくる。血液が毛細血管の隅々に流れ始めているということなのだろう。

体中の細胞が活性化することで今まで眠っていた体の機能が活性化する、これが走るというパフォーマンスにプラスになると言うのだ。



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マラソンランナーのトレーニングとしては一番筆頭に上げられるのがこのLSD。

しかし、LSDという言葉に定義づけをするというのは実際のところ難しい。

どれだけの時間、どれくらいの速さで、どのくらいの距離を走ればよいのか…?

これはランニングの経験、あるいはランナーの走力にもよるのだろうが、ビギナーにしてみれば20~30分だって長いと思うかもしれない。

私自身としては、スピードは特に意識せず「心地よく走れるスピード」をキープして走ってもらいたい。

鼻で呼吸ができるスピード、あるいは誰かと一緒に走っていておしゃべりしながら走れるスピードと言ってもいいだろう。

時間を主とするか距離を主とするかで走りも若干変わるだろうが、できれば時間のたっぷりある時にまとまった距離を走るのがいい。

時間や距離を気にしながら走っていては心地よさは求められない。



LSDのいいところは故障が起こりにくいということ。

スピード練習では故障を避けられない。

特に足(脚)が未完成のランナーは、まずLSDでマラソンを走る足(脚)をしっかり作っておきたい。

若い頃に運動経験があるからといって過信していては危険。

体はいつまでも若い時のままではないのだから。



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佐々木氏もその著書で書かれていたが、ゆっくり走りながら自分らしい走りを見つけることも大切。

ランニングフォームである。

万人に共通する最適なランニングフォームというのはない。

自分自身が走り続けていく中で自然に生まれてくるのが自分独自のランニングフォームなのだ。

たとえば、3~4時間走り続けたランナーの体には無駄な力が入っていない。

入れるだけの力も恐らく抜けていってしまうのだろう。

リラックスした状態なら効率のいい走りが可能だ。



転がり続ける石はやがて角が取れて円くなっていく。

最初はギクシャクした走りであっても長期間走っていると見た目も自然な走りになる。

速いスピードで走るのは格好よく見えるとしても、スロースピードになるとアンバランスな走りをするランナーが意外に多い。

どんなスピードでも一定の走りができなければ長い距離は走れないというのが私の理論。



ある程度マラソンの足(脚)ができたなら、何時間でも時間の許す限りLSDをやってみよう。

フルマラソンを目指すのなら30~40キロ。

100キロなら60~80キロ。

もちろん本番のレースと同じ距離を一度は経験しておくのもいいのだが…。



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1992年に光文社から出版された加藤邦彦氏の「スポーツは体にわるい」という著書を読んだ時、活性酸素の有害性について記されていた。

長距離のレースでは、当然速いペースでかなり体を酷使させることになる。

本来、スポーツとは体にストレスを与える行為、ランニングも然り…なのだ。

それでも心地よさや達成感を味わいたいと思うランナーは決して走るのをやめることはないのだろう。



加藤氏が提唱する適度の運動…特に中高年の場合、最大酸素摂取量の50パーセント、心拍数が100~110レベルの運動を週3回。

これはもちろん目安だが、インターバルなどのスピード練習をすることで乳酸蓄積量が増えて疲労がたまりやすくなるということも頭に入れておこう。

各個人の運動経験、体力レベルによって理想のトレーニングメニューも当然変わってくる。

大切なのはやはり「心地よさ」であるということは間違いないと私自身は思っている。



LSDはゆったりまったり走。

あせらずあわてず…。

ゆっくりではあるのだが、ただスローなだけでなく心にゆとりがあることで「ゆったり」した気分になれる。

長時間そんな感覚に浸ることで「まったり」感も生まれてくる。



時間や距離やスピードに縛られたら心地よさは消えていくもの。

仕事も同じ…。

「時間がない」と思う人間は自分の24時間をメンタル面で短くしてしまっているのだ。

「急がなければ」と思った時点で気持ちはもう焦ってしまって精神的な余裕を失っている。




とらわれないこだわらないしばられない…。

自由な感覚を大切にしよう。

GPSや心拍系の数値にこだわっているランナーは、実はデジタルツールに走らされているだけなのである。

走ることを科学するのは悪いことではないけれど、科学的データによって本来の走る楽しみが半減してしまっては元も子もない。



せめて走っている時間だけは各自のフィールドで野性に返るようにしよう。

大らかに、のびのびと…。

ランナーが一番輝けるのは走っている時なのだから…。



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テーマ:ジョギング・ランニング - ジャンル:スポーツ

  1. 2012/10/16(火) 11:25:31|
  2. マラソン・ランニング
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プロフィール

KAY(高繁勝彦)

Author:KAY(高繁勝彦)
走る旅人:アドヴェンチャー・ランナー、サイクリスト(JACC=日本アドベンチャーサイクリストクラブ評議員)、ALTRA JAPANアンバサダー、 YAMANOVAコーヒーアンバサダー、ARUCUTO一本歯下駄アンバサダー、旅人、詩人・アーティスト、クリエイター、ナチュラリスト…。元高校教師(英語)。  
大阪府松原市生まれで、現在、大阪府富田林市に在住。妻はミュージシャンでかつてぴよぴよ名義で「らんま1/2」エンディングテーマ「虹と太陽の丘」を歌っていた。

楽天ブログ時代(2006.4.2)からノンストップブログ更新中。公式サイト 「PEACE RUN 世界五大陸4万キロランニングの旅」“KAY’S WORLD”もよろしくお願いします。 プロフィール詳細はこちら。 

二度の日本縦断(「PEACE RUN 2010日本縦断ランニングの旅(3,443km)「PEACE RUN2012 日本縦断ランニングの旅 PART2(3,482.3km)」で実質の日本一周ランニング6,925kmの旅を完結。 

2011年はPEACE RUN 2011アメリカ横断5,285kmランニングの旅を138日で完了。 2013年9月から163日で「PEACE RUN2013オーストラリア横断ランニングの旅」5,205kmを走破。 

2014年11月から2015年2月、83日でPEACE RUN2014ニュージーランド縦断ランニングの旅2,796.6kmを走破。 2016年7月〜11月、110日間で7カ国3,358.8キロ、「PEACE RUN2016ヨーロッパランニングの旅」を走破。 

2017年9月〜10月、「PEACE RUN2017四国一周ランニングの旅」1000キロ走破。2018年5月「九州一周ランニングの旅」で約900キロ走破。 

2011年3月14日、東日本大震災の3日後、「RUN×10(ラン・バイ・テン)運動」を発案・提唱、全国に展開させる。 

2012年末、facebook上の公開グループ、平和的環境美化集団"THE SWEEPERS"を発足、活動を展開中。 

2014年、一本歯下駄で世界平和をめざすfacebook上の公開グループ「一本歯下駄クラブ」を発足、活動を展開中。 講演・セミナー・取材などの問い合わせ・依頼は下のメールフォームでお願いします。

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