【Slow&Mellow~ゆったりまったり】
マラソンブームがどんどん加速していく昨今、ランナーの人口は増えこそはすれ減ることはないのだろう。
東京や大阪などで開催されるような都市型のマラソンも依然増え続けている。
クリック合戦でエントリー、抽選に当たれば高額な参加料を払ってまで出場したいというランナーは数多くいる。
既に走っているランナーたちは、5キロや10キロのレースでデビューし、やがてハーフからフルマラソン、それでも物足りないというランナーは100キロなどのウルトラマラソンやウルトラトレイル100マイル(約160キロ)、中には200キロを超える超長距離の大会に出場、完走していく。
若い世代は単調なランニングにはあまり関心を示さない。
サッカーやテニス、野球などゲーム性のあるものの方がとっつきやすいのだろう。
40代50代で走り始める人たちの多くは、やはり検診でメタボの診断を受けて運動の必要性に迫られて走り出したというケース。
走り出して体重も減り、腹もへこみ、検診でブーイングを受けることなく、お酒も美味しく飲めるようになる。
職場でも家庭でもポジティヴな自分でいられるようになる…。
ふとしたことで走り始めたが、やがて日々がランニング中心の生活に変わっていくランナーも少なくはない。
レースや大会に時間やお金、体力も使い切って、走ることが楽しすぎるあまりにランニング中毒になってしまうランナーだってかなりいるはずだ。
こういうランナーが増えるということは、レースや大会の需要はまだまだあるということ。
1万円を超える参加料は都市型のマラソンでは当たり前のようになってきたが、20~30年前では考えられない金額。
さらに驚いたことに、3万円を超えるかなり高額な参加料がいるという大会も出てきている。
人が集まるところ、ブームのあるところに必ずビジネスは生まれてくる。
ランナーの足元を見る商売が必ずやあるということだろう。
先日、地元伊賀上野で開催されていた「荒木又右衛門 鍵屋の辻決闘マラニック」という奈良~柳生~伊賀上野まで大和街道をメインに走る45キロの大会を見に行った。
*来年の要項が
こちらにもう出ていた。
参加料は3500円、荷物搬送料は500円別途徴収という良心的な大会。
参加料にはゴール後のうどんと銭湯での入浴料も含まれている。
九州別府から大分まで伴走してもらった熊本のTさんが参加されているので応援に出向いたのだが、こんなローカルな大会があることすら知らなかった。
主催は伊賀上野観光協会と京和トライアスロンクラブの共催。
参加者は88名と発表されていたが、見たところゴールしてくるランナーの多くは40代以上。
ひょっとしたら50代60代の方が多かったかもしれない。
タイムや順位などの記録にはもう関心が薄れ始め、とにかく楽しく長い距離を走りたい…といった思いを抱くランナーたち。
察するに、普通のマラソンはもうひと通り経験してきて、何か目新しいものにTRYしたいという気持ちになった連中が、こういった大会に移行し始めているということだ。
facebookのあるお友達は、
「大会に出るのにPCの前でクリック合戦をして、抽選で当たるのをじっと待ち、高額な参加料を払うのはもう止めた」と言われていた。
全国規模で見れば、このマラニックのように本当にローカルで小規模な大会でも、いろいろサービスが行き届き、細かな配慮もされて、満足度120パーセントと言えるような大会も多々あるはず。
先日、香川県高松市のドングリランドで非公式に行われていたKKP(クルクルパーの頭文字らしい)という大会、一周1.4キロのトレイルを24時間くるくる回るというもの。

仲間が集まり、エイドステーションも設置し、計測も
K-SOKという画期的なシステムを導入。
練習会の延長でありながら、本格的な大会に優るとも劣らない。
走り終えた参加者は皆満足そうな表情を浮かべ、またやりましょうという声も…。
いろんな大会に出ることでランナーもそれぞれにニーズが生まれてくる。
参加するランナーもまた多種多様で、ビギナーランナーもいるしベテランランナーもいる。
シリアスランナーがいればファンランナーもいる。
「こんな大会にして欲しい」という思いを持った人間が大会を開催する、あるいは大会運営に関わることで理想の大会に近づけることは可能であろう。
走ったことのない人間が集まる組織だけで運営していれば、ランナーの要求に見合った大会をつくるのは難しくなってくる。
以前からRUNNETがランナーの投票をもとにして決めている
「全国ランニング大会100撰」に名前の挙がっている大会は、いずれも参加者が多数いる大きな大会が中心だが、100撰に選ばれずとも、ランナーが本当に満足できる大会は全国にいくらでもあるのだと思う。
参加料が高額だからといって必ずしも素晴らしい大会であるかどうかは分からない。
大会主催者側もあれこれ創意工夫しながら運営に関ってもらっているはずだが、ランナーのニーズに応えられるようなコストパフォーマンスの高い大会を目指してもらえればありがたい。
そういう意味では大会開催後の参加者対象のアンケートを実施するとか、参加者の声に耳を傾ける状況を設定することも必要だろう。
ツイッターやfacebookで、レースに参加したランナーたちがレースに対するそれぞれの思いを発信できる時代でもある。
名古屋に住んでいた1995年ごろ、お世話になっていた整体の先生(当時40代半ば)が岩倉市の五条川のコースを毎日10キロずつ走ることを20年来習慣にされていた。
雨の日も風の日も(恐らく今も走り続けているのだろう)、2000年の東海豪雨の際にも走っておられたという。
ところがこの先生、レースには一切出場したことがない。
「なぜ走るんですか?」と一度訪ねた時に、
「楽しいからですよ。頭も体もスッキリするし、走っていれば病気知らずなんです」と答えられたのを覚えている。
生涯スポーツとしてのランニング、若くて体力がある内はいろんなチャレンジがあっていいと思う。
だが、すべてのランナーが行き着く先には、やはりこの先生のような走りが待っているのだろう。
PEACE RUNのテーマでもある「ゆったりまったり」「あせらずあわてずあきらめず」もこういった考えと相通じるものがある。
個人的には、人生もランニングもLSD(Long,Slow,Distance)であっていいと思うが、LSM(Long,Slow&Mellow)という言葉に変えてもいいのではないかと考えている。
Longは「永く」(「長く」ではない)。
すなわち「いくつになっても…できるだけ長期間に渡って…」ということ。
Slow&Mellowで「ゆったりまったり」の訳語にあてている。
「ゆったり」というのは「ゆっくり」という言葉に似ているが、ただスピードが遅いだけではない。
気持ちに余裕を持って、まったり(=のんびり楽しみながら)走るという意味合いが含まれている。
「PEACE RUN世界五大陸4万キロランニングの旅」はレースではなく、あくまでも「旅」なのだ。
「アドヴェンチャー・ランナー」という肩書きはあるが、厳密に言えば僕はアスリートではなく「旅人」に過ぎない。
今や生きることが走ることとなってしまった。
走るために生まれ、生きるために走り、走るために生きる。
残りの人生を走ることに捧げた今、走ることは生きること。
走ることを通じて、この世界をじっくり時間をかけて見ていこう。

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テーマ:マラソン - ジャンル:スポーツ
- 2012/11/06(火) 16:01:40|
- マラソン・ランニング
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