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KAY'S BLOG

独行道~Lonesome Road of Running

Day19 Levin to Paraparaumu

【Day19 Levin to Paraparaumu】

午前4時半起床。ハイウェイから少し奥に入ったところにあるモーテルなのでまだ静かだった。

今まで泊まったたいていのモーテルがメインストリート(ステイトハイウェイ)沿いに建っていて、街の中は車の制限速度も落ちるのだけど、それでも大型トラックやトレイラーが通過すると騒音と振動は免れない。

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午前6時20分スタート。

ウェリントンへ約90キロ。今日はその間にあるパラパラウムというちょっとおもしろい名前の街へ。


走り出して3キロほどでレヴィンの中心部に入る。

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朝の気温は12度…まだ寒いくらいだ。


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スーパーは午前7時からオープンしている。今の時期はクリスマスセール一色…日本もきっと同じなんだろう。


繁華街にはいろんな店があり、店の前に車が斜めに駐車できるようになっている。

これはアメリカやオーストラリアも同じ、道路も幅広くゆったりしているのだ。


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レヴィンの街を出て程なくして、一匹の犬が現れた。

ある家の軒先から急に吠えながらやってきたのだ。

アメリカ中西部では放牧地帯でことごとく放し飼いの犬に追いかけられてえらい目に遭っているので、今回も無視して前進。走ると犬を刺激することになるので歩きに切り換えた。

すぐに自分の家に戻るだろうと思っていたら、いつまでも後をついてくる。

吠えはせずに、ただ後をついてきて、道端のいろんなものをくんくんしながら時折自分を追い越して、道路に落ちている動物の死骸をくわえてきたり、水たまりの水を飲んだり…。

そんな様子から僕は、この犬が首輪は付いているものの、どうやら迷子犬であることに気づいた。

オス、まだ若いようでとても元気だ。



街から離れると車の制限速度は100キロになる。

路肩も狭くなるだろうし、このままだとこの犬は車にはねられてしまうことになる。

いつかあきらめて街に引き返すだろうと思っていてもその気配は全くない。

どこかの民家の方に預かってもらうよう頼もうかと思いつつも朝が早くてそれも難しい。

当然連れて行くわけにも行かないし、長旅なので明らかに無理がある。

何度か道路に飛び出して、トラックが急ブレーキをかけたり…ハッとして見ていられない場面も…。

こちらもバギーを押すのをやめて、彼を呼びつけ、SIT!(お座り)を指示するとちゃんとおすわりする。

この犬も馬鹿じゃないようで、何度かそんな恐ろしい目を経験して少しは学習したようだ。

道路の真ん中に飛び出しそうになったら、路肩に戻るように指で指示しながら英語で犬に叫んで難を逃れさせる。

「そばを離れるなよ!(Stay with me!)」といいつつも完璧にそばにいさせるのは無理がある。



しかし、ここで問題が発生。

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川に架かる橋の上で路肩消滅。車二台ぎりぎりのスペースしかない。

交通量はウェリントンが近いのでかなり多くなっている。

大型トラック・トレイラーも相当数行き来する。

橋の長さは数十メートル。猛ダッシュで通過できないこともないが、この犬がいれば絶対あとをついてくるだろうし、そうなると自分よりも犬を危険に晒すことになる。

さあ、どうする?


10分くらい考えていた。

バギーに犬を載せる?犬はじっとしていないだろう…。

バギーに付けたストラップを犬の首輪につける?

たとえロープで引っ張ってもこの道幅では縦一列に進まない限り危険。

犬を抱っこして、バギーは置いたまま橋の向こうに移動する?

バギーを取りに戻っている間彼はどうなるのか…(笑)



すると反対車線に道路工事のトラックが停まった。

思わず手を上げたらこちら側に車ごと移動してきてくれた。

マオリ族の見た目いかついおじさん…

「助けが必要なんです(I need your help!)」とことのあらましを説明したら、

「この橋は車で渡らないと危ないから、君も犬も一緒に運んであげるよ」

と嬉しいお言葉…

「ヤター!!」

犬さえ助けてもらったら自分自身はどうにでもなると思っていたが、自分まで救われるハメになるとは…。

彼は携帯電話で誰かに電話をして、犬の首輪についているペンダントに記された数字を伝えるなどして、犬のことで何か問い合わせているようだった。

「よかったなー。これでお前もご主人様の所に戻れるぞ」

たった数キロをともにしただけだが、気づけば妙に愛着のわく仲間になっていた。

バギーをトラックに載せ、僕と犬はトラックの助手席へ。

犬はすっかり安心したようで、その表情はどこか笑っているように見えた。

車が走っている間、僕は犬の皮の首輪をつかみながら「もう大丈夫だぞ(Now you’re okay.)」と頭をなでた。

「この先、まだ危険な橋が2つばかりあるよ」とドライバー。

「あとは自力で何とかしますから、このワンちゃんだけ何とか助けてあげて下さい」

「わかった。ウェリントンまでまだ長いから気をつけてな」

橋をわたって約1キロばかり先の路肩に彼はトラックを停めた。

じっと僕を見つめる犬…僕は彼を助手席に残し、彼の無事を祈りつつ別れを告げた。

「君にとっても大冒険だったな…」と僕は彼の頭をもう一度なでた。



バギーをトラックから降ろし、荷物を再セッティングした。

ドライバーはミックと言った。彼に旅のあらましを説明したら目を丸くして驚いていた。

「何よりも安全な旅をしてくれよ」

握手をして礼を言ってお別れ。

「ワンちゃんをお願いします!(Take good care of the doggy, please.)」



ミックは親指を立てて「大丈夫。まかしときな」と目で語っているようだった。



トラックは方向転換し再びレヴィン方面へと…。チラリと見えたあの犬の目はこちらを見て何かを語っているようだった。

「ありがとう」と言っていたのかもしれない。

最初に気づけばよかったのだけど、あの犬はきっと僕に助けを求めていたのだ。

過去に犬に噛まれたり、犬に追いかけられたトラウマから、僕はその犬に対しても何か偏見みたいなものがあったに違いない。

ずっと飼い主から離れてしまって野性化しようとしていたけれど、久々に道路で人を見て彼も嬉しくなったのか、自分の前後を行ったり来たりしながら妙にはしゃいでいるようにも見えたのだ。


感性のチカラ…これは人に対しても、動物に対しても必要なもの。気づかなくていいことでも、気づけばきっといろんなことが変わる…そんなことが世の中にはいっぱいあるはず。

わずか数キロのその犬との旅を思い返しながら、ハラハラ・ドキドキもさせてくれたけれど、あの時トラックが来てミックが助けてくれなかったらどうなっていただろう…?

そんなことを思いつつ、僕は走り始めた。


ステイトハイウェイ1号線の旅は、その後も幾度か試練となる。

ミックが言ってた通り、橋はあった。

通常右側を走るのだが、路肩が無くなる場合には左側に移動。

ひとつ目はそう長くなかったので、交通量の少なくなったタイミングで猛ダッシュ!

息切れするくらいの勢いで駆け抜けて難なくクリア。

2つ目、ちょっと長めの橋。後続車がスピードを落としてくれて、後ろに数台渋滞が起こった。対向車がいなくなった時点で自分を追い越していく。

中にはいらだちのクラクションを鳴らす車もあったが気にしない。

道路でも、たとえ人であっても車であっても敬意を持って接するって大切。自分が相手の立場なら…という考え方ができることなのだろうな。

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途中で自転車専用道があることに気づくが、グーグルマップを見るとかなり迂回するルートになっているので断念。


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歩道があるということはありがたいこと。

命を守られているという安心感…それが郊外に出れば自動車中心の道になる。どこの国でもこれは致し方ないことなのかな…。




「日刊ニュージーランドライフ」で僕のことを知ってくれためぐみさんというパラパラウム在住の女性宅を訪ねる。

幼稚園にお子さんを迎えに行った帰りに車から声をかけられた。すぐ家の傍だった。

その後、めぐみさんのママ友(お母さん友だち)が集まってくれて、子どもたちを交えてお茶会。美味しいケーキとコーヒーを頂いた。

彼女たちのニュージーランドでの暮らしや、今の日本の話題などで1時間ばかり盛り上がる。それにしてもみんなポジティヴな方々ばかり。こちらがパワーをもらってしまった。

めぐみさんのお友達あきさんが、今夜お世話になるハワードとジャンの家に電話をしてくれて車で送ってもらえることになった。何から何までありがたいことばかりだ。

めぐみさんからはおにぎりのおみやげをいただく。こちらに来てずっとお米を食べてなかった。約3週間ぶりのお米だ。

まるで孫のような子どもたちも一緒に記念撮影をしてお別れ。

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僕が抱っこしているのは2歳の男の子いつきくん。まだしゃべれないけれど、僕の顔をじーっとみてニコニコしていた。


あきさんの車にバギーを積んで約6キロほど離れたハワードとジャンのお家へ。

ビーチに近い山の上に二人の家はあった。

タイハペ近くのレストエリアで出会った時と同じ、黄色のトヨタハイエースが車庫にあった。

間違いない、ここだ!

ハワードがまず出迎えてくれて、ジャンも中から出てきた。

「ついにここまで来れたね」とハワード。

「なかなか楽じゃなかったですよ」と僕。

あきさんを紹介して、荷物を下ろし、かなり急な勾配の坂を階段で上がる。荷物が重い…。


その後あきさんにお礼を言ってあきさんとお別れ。

シャワーを浴びて、ディナー…久々に温かい料理…ローカルビールが美味しかった。

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今日だけでも実にいろんなことがあったけど、まるでドラマのような1日だった。

何が起こるかわからないから旅も、人生も面白い。

人生をやめられないように旅もやめられない訳だ。


PEACE RUN 2014 Running Across NZ Movie#2



二作目の動画できました!


*本日の走行距離:47.01キロ

*オークランドからの累積走行距離:685.04キロ

*現在地情報はこちら 

*本日の写真はこちら





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  1. 2014/12/03(水) 12:59:59|
  2. PEACE RUN2014ニュージーランドランニングの旅
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プロフィール

KAY(高繁勝彦)

Author:KAY(高繁勝彦)
走る旅人:アドヴェンチャー・ランナー、サイクリスト(JACC=日本アドベンチャーサイクリストクラブ評議員)、ALTRA JAPANアンバサダー、 YAMANOVAコーヒーアンバサダー、ARUCUTO一本歯下駄アンバサダー、旅人、詩人・アーティスト、クリエイター、ナチュラリスト…。元高校教師(英語)。  
大阪府松原市生まれで、現在、大阪府富田林市に在住。妻はミュージシャンでかつてぴよぴよ名義で「らんま1/2」エンディングテーマ「虹と太陽の丘」を歌っていた。

楽天ブログ時代(2006.4.2)からノンストップブログ更新中。公式サイト 「PEACE RUN 世界五大陸4万キロランニングの旅」“KAY’S WORLD”もよろしくお願いします。 プロフィール詳細はこちら。 

二度の日本縦断(「PEACE RUN 2010日本縦断3,443kmランニングの旅「PEACE RUN2012 日本縦断ランニングの旅 PART2」で実質の日本一周ランニング6,925kmの旅を完結。 

2011年はPEACE RUN 2011アメリカ横断5,285kmランニングの旅を138日で完了。 2013年9月から163日で「PEACE RUN2013オーストラリア横断ランニングの旅」5,205kmを走破。 

2014年11月から2015年2月、83日でPEACE RUN2014ニュージーランド縦断ランニングの旅2,796.6kmを走破。 2016年7月〜11月、110日間で7カ国3,358.8キロ、「PEACE RUN2016ヨーロッパランニングの旅」を走破。 

2017年9月〜10月、「PEACE RUN2017四国一周ランニングの旅」1000キロ走破。2018年5月「九州一周ランニングの旅」で約900キロ走破。 

2019年夏にヨーロッパ続編となる「PEACE RUN 2019 ヨーロッパランニングの旅PART2」を予定している。

2011年3月14日、東日本大震災の3日後、「RUN×10(ラン・バイ・テン)運動」を発案・提唱、全国に展開させる。 

2012年末、facebook上の公開グループ、平和的環境美化集団"THE SWEEPERS"を発足、活動を展開中。 

2014年、一本歯下駄で世界平和をめざすfacebook上の公開グループ「一本歯下駄クラブ」を発足、活動を展開中。 講演・セミナー・取材などの問い合わせ・依頼は下のメールフォームでお願いします。

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