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独行道~Lonesome Road of Running

映画「わたしに会うまでの1600キロ」レビュー〜その2

【映画「わたしに会うまでの1600キロ」レビュー〜その2】

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*その1をまだ読まれていない方はこちら


*注意:一部映画のネタバレがあるのでこの映画を見る予定の方はスルーして下さい。それでも差し支えなという方、あるいは映画をご覧になられた方はぜひご一読ください。






*大陸の旅

一人で大陸を旅をすることがいかに過酷であるかは想像するに難い。

言葉をかわす相手もいない、そんな時間が長くなれば言葉も口からでなくなる。たまに出会う旅の仲間は何よりも嬉しい。たった一度の出会いがまさに一期一会。旅で得られた親友は一生の友とさえ思える。

雄大な大自然の懐に包まれそこに息づく動植物の生命力、灼熱の砂漠の猛暑から深い雪の中を歩く極寒の旅。

道は決して平坦ではない。辛く苦しいこともあれば本当に幸福の極みと思える瞬間もある。

人間だから持ちうるいろんな感情を旅で経験しつつも、最終的にはどんなことに対しても寛容に振る舞えるのが旅人。過去の自分がどんな人間であっても甘んじて受け入れる。そして、過去から学んだ教えを糧に、未来に向かって今を真摯に見つめながら生きていく人となるのだろう。



*リスク・マネジメント

一人旅には様々な危険がつきまとう。

自然災害としては、落雷、大雨洪水、突風、竜巻、砂漠なら砂嵐といった自然災害。

熱波で倒れてしまえば命取りになることもあり得る。大雪も地域や季節によっては起こり得る。

動物なら、アメリカロッキー山中にはグリズリーと言われる獰猛なクマもいる。時速50キロで走れる動物なので走っても逃げ切れない。嗅覚が鋭いので、テントの中に食料を入れていて襲われるというケースも多々あるようだ。砂漠にはコヨーテという野犬のようなヤツもいる。

毒蛇やサソリやクモなどの毒虫は砂漠ならあちこちにいる。ガラガラヘビはモハヴェ砂漠のルート66上でひなたぼっこしている場面もよく見かけたし、サソリやレッドバックスという毒グモはオーストラリアで何度かお目にかかった。

テントを張る場所も考えなければいけないのだ。

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そして、恐らく最も怖いのは人間。道を歩けば大型トレイラーのような車も時速100キロを超える高速で飛ばしているし、都市では金品だけでなく命を狙われる危険性もあり得る。

女性の場合、男性に襲われる可能性もより高くなるだろう。

すべての人を疑うわけにはいかないのだが、長く旅をしていれば危険なにおいには敏感になるはずだ。

水や食料が尽きるというのは砂漠の旅では最悪なパタンだ。誰かが突然現れて水や食べ物をくれることをあてにしていては旅人として失格。

いずれにしても起こり得る危険を想定しながら、回避できるものは回避する工夫は必要であろう。



*アウトドア的側面からの考察

1)バックパック
彼女の背負っていたバックパックには「モンスター」というニックネームがつけられていた。旅のスタート時、モーテルであれこれいろんな荷物を詰めて、その重量は女性の彼女が持ち上げるには超ヘビー、推定30キロ。旅の途中で不要な荷物を処分して最終的には20キロくらいにはなったのか。ちなみに私は50〜70キロの荷物を積んだバギー=ジョギング用のベビーカーを押して走っていた。背負うよりもはるかに多くの荷物を搬送できるし、バックパックのベルトが擦れたり、背中に汗がたまったりすることもない。


2)水
バスルームで大量の水を携帯用のタンクに入れる。水は重い。1リットルで1キロ。砂漠の40度超の気温下を歩くなら少なく見積もっても1日5リットルはいるだろう。当然水道やシャワーもないし顔も体も洗うことはないので、調理に使う水も入れれば7〜8リットル。
私の場合、ナラボー平原で無補給区間194キロ(4日かかる)を走る際に約25リットルの水を積んでスタートした。幸い気温が低い時期で助かったのだが。

砂漠の真ん中で貯水タンクを見つけても水がカラになっていた。テントで目覚めた朝に、日中と夜の気温差でテントについた水滴を舐める場面もあった。そう、砂漠は日中45度あっても明け方25度くらいになってブルブル寒さで震えるのだ。気温差が20度あるということは20度から0度に下がるのと同じレベル。


3)ツール
いろんなアウトドアツールが登場する。もちろんテントや寝袋はキャンプの必需品。

乾燥食品も常備品。水で戻したり加熱調理して食べるものもある。

彼女が使っていたガスストーブはMSRのウィスパーライト。ガソリンスタンドでも手に入る無鉛ガソリンを使うタイプ。1リットルの水を3〜4分で沸騰させられる。私も「PEACE RUN2013 オーストラリア横断ランニングの旅」では同じMSRのホワイトガソリンや灯油が使えるタイプを使っていた。

アウトドアの経験も知識もほとんどなかった彼女、燃料の種類を間違えてストーブが使えず、本来は加熱調理して食べるマッシュポテトを水で作って食べるという場面があったり、ブーツは本来大きめのサイズを選ぶべきところを、普通のサイズを買って足に豆を作ったりと大変な状況も経験していた。

ウォーターフイルターも砂漠の旅では必携。水たまりの水を濾過して、ヨウ素を使って消毒。こういったツールは自然災害時にも重宝する。2000年の東海豪雨の際、あたりが浸水しているのに水道は断水。飲水がなくて困ったことがあった。

キャンプ中、寝袋に何か生き物の気配を感じた彼女、テントから飛び出て寝袋を引っ張り出した。蛇か何かと思って買っておいたホイッスルを思い切り吹き鳴らす。かなりの音が出せることを発見。女性は痴漢撃退に使えるかも…。

彼女がいろんなアウトドア用品を揃えたお店がREI(=Recreational Equipment Incorporated)


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これはアメリカのアウトドアの生協とも言うべきシアトルに本社があるブランド。全米の主要都市に店を構える。私も何度も利用した。

サイズが合わなかったシューズを無償で交換するサービスなんてあったのかと思わされたが…。

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思いバックパックを背負って歩くことで、背中や腰にも擦過傷ができる。爪が剥がれたり血豆が潰れることも当たり前のこと。旅とは決して楽なことばかりじゃない。少しでもそういったトラブルを軽減させるためにもアウトドアツールはやはり慎重に選ぶのがいい。

基本は軽くてタフ、コンパクト。あれば便利というものは要らない。絶対に必要なもののみを持つ。映画の中で、シェリルの荷物チェックをして荷物の量を減らす場面があったが、あれもアウトドアマニアにはいい教えになるだろう。

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*音楽的側面の考察

サイモンとガーファンクルの名曲「コンドルは飛んでいく」のイントロが何度も登場する。



物悲しい寂れたイメージを持つあの歌が、荒涼とした砂漠の風景であったり山中のトレイルを歩く場面の中でサブリミナル的に使われている。

他にもクワイ河マーチなど鼻歌で歌われる場面もあった。

砂漠を走っている際、私自身もひとりで歌うことで退屈さを紛らわせていた。歌でも歌わなければやってられない…そんな気持ちにさせられる。

シェリルがトレイルを歩いていると、パニアバッグを着けた誰かのアルパカがいきなりトレイルに現れ、その後おばあさんと小学校低学年くらいの男の子がやってくる。年齢に相応しくないバカ丁寧すぎる言葉遣いとありえないくらいの礼儀正しさ…。

この男の子がシェリルのために歌を歌ってくれるのだが、この歌の歌詞がシェリルのハートに突き刺さる。

二人と別れたあと、シェリルはひざまずき、初めて声を出してオイオイ泣き始める。

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今まで強がっていた彼女が自分を解き放つために流した涙。

無理していたのだろう。いろんな悲しみを受け入れられなかった彼女は、虚構の世界に生きようとして自分自身が崩壊する一歩手前にいたのだろう。

別の場面、彼女がヒッチハイクした車のカーステレオから流れてくるカントリーミュージック。家に帰ることをやたら強調する歌詞…彼女はしんみりとはしたものの泣くところまでは行かなかった。ずっとこらえていたのかもしれない。




*写真は「わたしに会うまでの1600キロ」フェイスブックページ公式サイトから




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  1. 2015/09/03(木) 17:42:11|
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KAY(高繁勝彦)

Author:KAY(高繁勝彦)
冒険家:アドヴェンチャー・ランナー、NPO法人“PEACE RUN”代表、サイクリスト(JACC=日本アドベンチャーサイクリストクラブ評議員)、ALTRA JAPANアンバサダー
旅人、詩人・アーティスト、クリエイター、ナチュラリスト…。元高校教師(英語)。

大阪府松原市生まれで、現在、大阪府富田林市に在住。

楽天ブログ時代(2006.4.2)からノンストップブログ更新中。公式サイト
「PEACE RUN 世界五大陸4万キロランニングの旅」
“KAY’S WORLD”もよろしくお願いします。

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二度の日本縦断(「PEACE RUN 2010日本縦断3,443kmランニングの旅「PEACE RUN2012 日本縦断ランニングの旅 PART2」で実質の日本一周ランニング6,925kmの旅を完結。

2011年はPEACE RUN 2011アメリカ横断5,285kmランニングの旅を138日で完了。

2013年9月から163日で「PEACE RUN2013オーストラリア横断ランニングの旅」5,205kmを走破。

2014年11月から2015年2月、83日でPEACE RUN2014ニュージーランド縦断ランニングの旅2,796.6kmを走破。

2016年7月〜11月、110日間で7カ国3,358.8キロ、「PEACE RUN2016ヨーロッパランニングの旅」を走破。

2017年9月現在、「PEACE RUN2017四国一周ランニングの旅」を現在走行中。


2011年3月14日、東日本大震災の3日後、「RUN×10(ラン・バイ・テン)運動」を発案・提唱、全国に展開させる。

2012年末、facebook上の公開グループ、平和的環境美化集団"THE SWEEPERS"を発足、活動を展開中。

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