KAY'S BLOG

独行道~Lonesome Road of Running

モニュメントバレー回想:US163号線〜2011年6月25日

【モニュメントバレー回想:US163号線〜2011年6月25日】

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5年前の今日は、アメリカ横断ランニングの旅のさなか、ユタ州モニュメントバレーに向かっていた。





砂漠でのキャンプは、砂嵐にも見舞われる。

朝起きたら何もかもが砂まみれ…髪の毛も顔も、寝袋も…。テントのフロアもすべて砂埃で真っ白け。口の中までざらざら…。

でも、実際のところ、これが砂漠なのだ。





映画「フォレスト・ガンプ」では、フォレストがアメリカ大陸を走って横断する場面が出てくる。


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一緒に走っていたフォレストを信奉する仲間たちを前にして「疲れた。もう家に帰る…」といった場所がここ。


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フォレストはそこで旅を終えてしまったが、僕はなおもそこから東に向かって走り続けた。

気温こそ40度を下回っていたものの、暑さと乾きはハンパないものだった。

木陰さえない。木が生えていないのだから当然のこと。

砂漠のランで、気持ちはとことんダウン。

早く砂漠から抜け出したい…早くこの旅を終えて日本に帰りたい…そんなことばかり考えていたのだろう。


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赤茶けた岩山、いろんな形をした奇岩、まっすぐに続く一本のハイウェイ…。

何もかも見飽きてしまった砂漠の風景が延々と続き、一日走っても一週間走っても砂漠はまだ続く。

行けども行けども終わらない。

挙句の果て、夢の中でまで砂漠を走っている自分がいる。いい加減に勘弁して欲しいと思いながらも現実は甘くない。


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朝方はまだ気温は低いものの25度前後。午前10時を過ぎると日差しも強くなる。

日中の暑さは体感的に40度ほどで、そうなるともう走るのは危険なレベル。

午後5時頃でも暑さのピークは続いている。

砂漠では日が沈んでから数時間しないと暑さは終わらないということも学んだ。

体がオーヴァーヒート状態になるともう歩くのさえ辛くなってくる。

道路に立っていると、アスファルトの路面と同様に溶かされてしまいそうな感覚。

あまりの辛さや苦しさに涙が出そうになるけれど、乾いた砂漠では涙は目からこぼれてすぐに乾いてしまう。

そういう意味で、砂漠は悲しみを癒すのにちょうどいいところなのかも知れない。


ハイウェイ上で出会う人々の温かさがありがたい。

路肩で休んでいるとひんぱんに車がとまってくれる。

「大丈夫か?」とか「何か要るものはないか?」とか「水は十分にあるか?」とか「何でこんな狂ったマネをしてるんだ?」とか良く聞かれる。

いろんなものを頂いて、感謝感激感動。

「次の街まで送るから車に乗って行きなさい」と言われても、アメリカ横断ランニングの旅という事情を説明して、悲しくもその嬉しい申し出を拒まなくてはならない。

思いやりと気配り…特にこの周辺に暮らすナバホ族の方々の温かさが嬉しすぎる。

乾いた砂漠の気候にもかかわらず、人間関係だけはここではドライではないのだ。


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時折胃がキリキリ痛むほど辛くなって、それでも走るしかない。

旅は楽しさを超えてストレスそのものになることもある。

暑さと渇きと疲労で、走れなくなれば歩くしかない。

足のマメがいくつもつぶれて、マメの下の皮までマメでつぶれてしまう。

生きている限りは前進し続ける。それが旅人の鉄則。



お金があっても、水や食料を手に入れる店がなければどうすることもできない。

水やゲータレードがあっても、お湯になってしまった状態で飲むだけ。

冷たいものが飲みたいと思っても、氷も冷蔵庫もない。

たとえお湯でも、それを飲むことで命をつなげるのだと思えばまだありがたい。

限られた条件の下で生きていく、それもまた砂漠の掟(おきて)。



スタートのロングビーチからちょうど一ヶ月め。

この一ヶ月で全走行距離は1279キロ。平均して1日41.25キロ走ったことになる。



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午後2時、乾いた砂漠のど真ん中を走っていて暑さと渇きで死にそうになりかけていた時に撮ったのがこの写真。

水と食料を含む約50キロの荷物を積んだバギーを押して歩ける限界状態の登坂路、恐らく勾配は10パーセントくらいあっただろうか。

5歩押しては立ち止まり、さらに5歩進んでは深呼吸。暑さで肺が焼け付きそうになる

永遠に終わらないかのような登り…わずか数百メートルではあったが、登り切ったあと、しばらく立ち止まっていたら涙が出そうになった。

なぜここまで苦しめられなければならないのか…不条理さの中での砂漠のラン。


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そして、午後5時半、ブラフの町に入り、宿に着いた。ずっとテント泊だったが、久々のモーテル。

5日ぶりに飲むビールがうまかった。



後日談になるが、このブラフでヘルペス(帯状疱疹)に感染していることが判明。

最初は腹部に発疹ができて痒みを感じる。虫刺されの薬を塗布するも痒みは収まらず。背中から腰にかけて鈍い痛み(神経痛)も発生。

モーテルでオフを取り、ある時「発疹・神経痛・痒み」でネット検索すると、一発で「ヘルペス(帯状疱疹)」がヒット。

いくつかの記事を読んでいくと間違いなかった。

たまたま、この町にお友達のお友達が暮らしていて、すぐに連絡を取り、最寄りの病院(モーテルから60キロ先)に連れて行ってもらったらやはりヘルペスだった。

無理をすると神経痛の後遺症が残るかもしれないというので、しばらく走りはストップ。

薬を出してもらって、このお友達のご家庭で6日養生させてもらう。

ヘルペスが発症した経緯は恐らく、加齢、過労、ストレス、栄養不足、暑さ、紫外線というところだが、ほとんどどれもあてはまる。

連日オフが続き、走れないことがまたストレスになり、ある程度神経痛が収まったところで旅を再開。

栄養を取るためにも、それ以後、野菜ジュースや牛乳をしっかり摂って、ピザやハンバーガ、コーラなどのジャンクフードをできるだけ控えるようにした。

気がつけばいつの間にか神経痛も消えていた。発疹はしばらく残ったものの、旅の終わりにはヘルペスに罹ったこともすっかり忘れてしまっていた。

砂漠の過酷な日々も楽しんでいればヘルペスに罹ることもなかったのだろう。

モニュメントバレーで撮った写真を見るたびに思い出すのはいつもヘルペスとフォレスト・ガンプ。

と同時に、映画「フォレスト・ガンプ」を見るとヘルペスの日々が思い出されるのだ。



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*平成28年熊本地震復興支援…ランナーが走ることでできることがあります

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RUN×10(ランバイテン)運動

「PEACE RUN世界五大陸4万キロランニングの旅」公式サイト





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プロフィール

KAY(高繁勝彦)

Author:KAY(高繁勝彦)
冒険家:アドヴェンチャー・ランナー、NPO法人“PEACE RUN”代表、サイクリスト(JACC=日本アドベンチャーサイクリストクラブ評議員)、ALTRA JAPANアンバサダー
旅人、詩人・アーティスト、クリエイター、ナチュラリスト…。元高校教師(英語)。

大阪府松原市生まれで、現在、大阪府富田林市に在住。

楽天ブログ時代(2006.4.2)からノンストップブログ更新中。公式サイト
「PEACE RUN 世界五大陸4万キロランニングの旅」
“KAY’S WORLD”もよろしくお願いします。

プロフィール詳細はこちら

二度の日本縦断(「PEACE RUN 2010日本縦断3,443kmランニングの旅「PEACE RUN2012 日本縦断ランニングの旅 PART2」で実質の日本一周ランニング6,925kmの旅を完結。

2011年はPEACE RUN 2011アメリカ横断5,285kmランニングの旅を138日で完了。

2013年9月から163日で「PEACE RUN2013オーストラリア横断ランニングの旅」5,205kmを走破。

2014年11月から2015年2月、83日でPEACE RUN2014ニュージーランド縦断ランニングの旅2,796.6kmを走破。


2016年7月〜11月、110日間で7カ国3,358.8キロ、「PEACE RUN2016ヨーロッパランニングの旅」を走破。

現在まで3つの大陸で16,637キロ走破。残り三大陸で23,363キロを走ることになる。

東日本大震災から3日後に「RUN×10(ラン・バイ・テン)運動」を発案・提唱、全国に展開させる。

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