KAY'S BLOG

独行道~Lonesome Road of Running

ホノルルマラソンの思い出〜その2

【ホノルルマラソンの思い出〜その2】

honolulu89b
(ホノルルのさわやかな風に自然と笑みがこぼれる)


今年もまたホノルルマラソンの時期がやってきた。今週末11日(日本時間は12日)がちょうどホノルルマラソンにあたる。

過去5回走って、今もなお忘れがたいマラソンである。常夏の島、南国ハワイでの暖かい気候の中でのレースというのも魅力だが、何よりも人々の暖かさ、大会主催者たちのホスピタリティもとても素晴らしいものがある。

初めての海外旅行はハワイ、88年のホノルルマラソンだった。飛行機に初めて乗ったのもその時。現在は4万人近く参加するようだが、まだ参加者が1万人を越える前の時代である。

マラソンブームで、全国主要都市での大会も増えてきた。ファンランを楽しむランナーたちが増えてきたのはいいことだ。しかし、ホノルルマラソンを越えるような素晴らしい大会は残念ながらまだ他に見たことはない。2010年10月に訪ねた沖縄の伊平屋ムーンライトマラソンは、いろんな点でホノルルに近いものがあったが、まだ規模としてはホノルルと比べものにはならない。

以下は、1989年、二度目のホノルルを走った際の手記である。いつかホノルルを走りたいと思われる方の参考になれば幸いである。




*****




1989年12月10日午前5時半(日本時間12月11日午前0時半)、アロハタワー前。自分にとっては昨年に続いて二度目のホノルルマラソン。

大砲の音とともに夜明け前の空に、色とりどりの花火が上がり、1万人ものランナーはどよめきにも似た歓声を上げて暗闇の中をスタートし始める。42.195キロの長旅の始まりだ。

目標タイム別にスタート位置が異なっている。僕は3時間以内のクラスに入っていたのですぐにスタートできたのだが、恐らく最後尾は200メートルほど後ろにいるので、スタートラインを通過するまで少し時間がかかるだろう。

それにしてもすごい人だ。肌の色も目の色も、話す言葉もそれぞれ違うし、年齢も小学生くらいの子供からシワだらけのおじいさんまでさまざま。実にいろんな人間がこのレースを盛り上げている。まさしくこれはお祭りだ。年に一度のランナーの祭典なのだ。

暗闇の中、聞こえてくるのは硬いアスファルトを小気味よく走るランナーの足音と、彼らの規則正しい息遣いだけだった。前方を走る男たちの汗臭い体臭が時折僕の鼻を刺激する。

徐々にペースアップして、軽快なピッチで遅いランナーをどんどん追い抜いていく。まるでカール・ルイスかベン・ジョンソンのような筋骨隆々の黒人も僕のペースについてこれず次第に後方へと消え去っていく。かと思えば、かなり高齢の白人のおじいさんが僕とほぼ同じペースで走っていたりして驚かされる。

アラモアナ通りからカラカウア通りへ入り、右手には有名なワイキキビーチが見えて、すぐ左にあるのはカピオラニ公園だ。26マイルを走り終えて僕たちの帰りを待っているゴールはこの公園内にある。

日本からの参加者は約5000人もいるという。例年参加者が増えているのもテレビが特番を企画したりして芸能人やタレントを走らせているからだろう。

ダイアモンドヘッドの登りのピークを越えて、しばらく住宅街の中を走っていく。うれしいのはエイドステーション(給水所)で地元の学生のボランティアたちが大きな声で声援を送ってくれることだ。それがブロンドヘアの可愛い女の子だったりするといっそう士気も高まる。

"Looking good!!(カッコいい!!)"とか"You can do it!!(完走できるわよ!!)"などという声があちこちから聞こえてくる。

10マイル付近からハイウェイに入り、わずかながら登りになっていて長い直線が続く。景色もほとんど変化がなく、ただひたすら走るだけの単調さからは免れられない。やがて東の空が白み始め、まばゆいばかりの朝日に向かってランナーたちは走り続けていた。


ハイウェイの向かい風が終わり、ハワイカイをぐるりと回る。アフリカ勢を中心としたトップ集団がやってくる。頭が小さく体は細く、異常に長い二本の脚…。通過点を一瞬で折り返し、ロングストライドでサバンナを走るカモシカのように駆け抜けていった。

この辺りは比較的フラットな道だ。陽射しが後頭部を強く照らしつけ、湿度も高いので、額や首筋の汗も止まることを知らない。

帰りのハイウェイに出る頃には疲れが出始めて少々ペースダウンしてくるが、ボランティアの差し出すガス抜きのコークを立て続けに2杯飲んで空腹感を紛らしてみる。何とかまだ持ちこたえられそうだ。問題は35キロ以降のへばりをどこまで食い止められるかだ。

マラソンは35キロ過ぎが精神的な中間地点と言われている。めまいのしそうなほどの空腹感と気だるさで両足も動かなくなればもうそれまでだ。

折り返してからは後続のランナーたちとすれ違う。彼らのさまざまな表情を見ていると不思議と疲れがどこかに消えてしまいそうだった。




ハイウェイの緩やかな下りを終えて住宅街を抜け、ダイアモンドヘッドへ。最後の登りが待っている。ピークを越えるまでが実に長くて辛い。そんな辛さも忘れさせてくれる沿道の応援もいっそう熱がこもってありがたい。歯を食いしばって一気に上がるともうあとは下るだけ。ゴールまでわずか1キロ。

ゴールのあるカピオラニ公園に入れば応援の人・人・人。たくさんの拍手に迎えられラストスパート。ゴールとなる会場では、ひとりひとりのナンバーと出身地(国)と名前を英語で場内アナウンスしてくれる。

"Number 8939, Katsuhiko Takashige from Japan is coming back now!!"

<あと800メートル…SMILE>

と大きな文字で書かれた旗が見えた。ここからゴールラインまでは一直線。沿道の観客の声援も、まるで大きなスタジアムで響き渡る歓声のようだった。


honolulu89a


一気にゴール目指してストライドをぐんぐん広げて走る。

<FINISH>の文字がくっきりと目に映り、僕は両手を上げてガッツポーズを作る。僕がヒーローになる瞬間。

カメラマンたちがシャッターを切る「カシャカシャ」という音が聞こえる。

“GREAT!!(スゴイ!!)”と誰かが叫ぶ。


honolulu89c
(ゴール直後、ストップウォッチを止めた)


8度目のフルマラソン完走。しかも初めてのサブスリーだ。


honolulu89d

2時間52分32秒。後半に少し誤差が出たが、予定通り1キロ4分を刻むことができた。


何が一体このレースをこんなに盛り上げているのだろうか。ひとことでは説明できないくらいホノルルマラソンの魅力は奥が深い。走るという意思さえあれば誰もがヒーローになれる。

ゴールをする瞬間はいつも感動に満ちあふれているが、ホノルルのゴールはまた格別。ここでしか味わえないものなのだ。

ゴール後完走者のみに与えられる<FINISHER(完走者)>と書かれたTシャツが渡される。これを着ている者は皆ヒーローだ。

僕は真新しいフィニッシャーズTシャツを身にまとい、ゴールラインの近くに立ったまま、他のランナーたちがヒーローになる瞬間を見届けていた。

次にあのゴールを越えるのはいつだろう。いつかまた笑顔でこのゴールラインを踏もう。僕はそんな誓いを立てながら、次から次へとやってくるヒーローたちに拍手を送っていた。


honolulu_certificate
(英語で書かれた完走証 9672名参加中129位 男性25歳から29歳まで1095名中36位 全男性7175名中120位)




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テーマ:マラソン - ジャンル:スポーツ

  1. 2016/12/09(金) 22:15:44|
  2. マラソン・ランニング
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KAY(高繁勝彦)

Author:KAY(高繁勝彦)
冒険家:アドヴェンチャー・ランナー、NPO法人“PEACE RUN”代表、サイクリスト(JACC=日本アドベンチャーサイクリストクラブ評議員)、ALTRA JAPANアンバサダー
旅人、詩人・アーティスト、クリエイター、ナチュラリスト…。元高校教師(英語)。

大阪府松原市生まれで、現在、大阪府富田林市に在住。

楽天ブログ時代(2006.4.2)からノンストップブログ更新中。公式サイト
「PEACE RUN 世界五大陸4万キロランニングの旅」
“KAY’S WORLD”もよろしくお願いします。

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二度の日本縦断(「PEACE RUN 2010日本縦断3,443kmランニングの旅「PEACE RUN2012 日本縦断ランニングの旅 PART2」で実質の日本一周ランニング6,925kmの旅を完結。

2011年はPEACE RUN 2011アメリカ横断5,285kmランニングの旅を138日で完了。

2013年9月から163日で「PEACE RUN2013オーストラリア横断ランニングの旅」5,205kmを走破。

2014年11月から2015年2月、83日でPEACE RUN2014ニュージーランド縦断ランニングの旅2,796.6kmを走破。


2016年7月〜11月、110日間で7カ国3,358.8キロ、「PEACE RUN2016ヨーロッパランニングの旅」を走破。

現在まで3つの大陸で16,637キロ走破。残り三大陸で23,363キロを走ることになる。

東日本大震災から3日後に「RUN×10(ラン・バイ・テン)運動」を発案・提唱、全国に展開させる。

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